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第38回女子ウィリアム・ジョーンズカップ 最終日 タイ代表に90-34で完勝するも1点差に泣き、準優勝で閉幕

2016年8月8日

初の国際大会に臨んだ#10根本 葉瑠乃選手は最終戦で15得点

先発を勝ち取れるようにしたい、と今後のさらなる努力を約束した#14 赤穂 さくら選手

 「第38回女子ウィリアム・ジョーンズカップ」は最終日を迎え、5連戦目の相手はタイ代表。
 第4戦で韓国(新韓銀行/WKBL)に1点差で悔しい逆転負け。「負けた後の試合こそ大事。今日は相手のことよりも自分たち、あるいは自分自身のバスケットをすることを目標にして細かいところを頑張ろう」と、萩原 美樹子ヘッドコーチは選手たちに伝え、最終戦へ送り出します。その期待に応えるように、選手全員が最後までディフェンスではプレッシャーをかけ、コートを走り抜いた日本が90-34と56点差をつけて快勝しました。

 通算4勝1敗となり、優勝の行方は1敗で並ぶ最終試合のチャイニーズ・タイペイ代表Aチーム vs 韓国(新韓銀行/WKBL)の結果に委ねられます。シーソーゲームとなり、どちらも勝ってもおかしくない熱戦となりましたが、64-63で韓国が勝利。この結果により、直接対決の成績により韓国の優勝が決定。2日連続1点に泣いた日本は目標を達成できず、準優勝で大会を終えました。個人としては、平均14.4点を挙げた馬瓜 エブリン選手と平均6.2本でアシスト王となった藤岡 麻菜美選手の二人が大会ベスト5に選出されました。

 昨日の敗戦後、萩原ヘッドコーチは多くの選手たちと個別に話をしました。その中で、「短い時間でなかなか自分のパフォーマンスを出すことができない」という意見が多く出たそうです。所属チームでは主力としてプレイタイム長い選手たちも、日本代表として国際大会に臨むとなると勝手が違い、戸惑う部分がありました。しかし、短い時間でも与えられた仕事や、自分のプレイを表現するのが日本代表選手。リオデジャネイロオリンピック開幕戦でベラルーシに勝利した「アカツキファイブ」女子日本代表チームの選手たちも、「日本代表は40分間ずっと出るわけではないから、コートに出た少ない時間でいかに自分の仕事ができるかが大事」ということを、全選手が口を揃えていました。そこに先発もベンチから出る選手も変わりはありません。

 しかし最終戦はその意見を受け、開始早々から次々とメンバーを交代していきます。その結果、20分以上プレイタイムをもらった#14赤穂 さくら選手の17点を筆頭に、#8中村 優花選手と#10根本 葉瑠乃選手はいずれも15点を挙げています。この3人は最終ピリオド10分間を任されました。萩原ヘッドコーチは、「昨日の韓国戦は自分たちでリズムを掴めなかった部分もあります。今日は控えだからとか、チームの役割は関係なく、自分本来のプレイを思いきり出してほしいと思って最後の場面を託しました」と話しており、自信をつけて大会を終えました。

 女子日本代表候補としてヨーロッパ遠征まで参加し、オリンピックメンバーに入るためにも短い時間でアピールしなければいけない経験をした#14赤穂選手でしたが、「あの時はもう走ることしか考えてなく、それが良かったのかもしれません。でも今回は、アピールしないといけないと変に考えすぎてしまっていました。いろんなことをしなければいけないと思ってしまったことが逆にうまくいきませんでした。初心に帰らないとダメだと思いました」と反省点を挙げます。
 今後のプレイタイムを増やすためにも、「もっと練習中からしっかり頑張って、スタートを勝ち取れるようにしたいです。4年後は主力として、もっと試合に出たいとあらためて思うようになりました」と話し、しっかり4年後を見据えています。

 女子U-23日本代表として、初の国際試合に臨んだ根本選手。開幕戦から積極的にシュートを打っていましたが、「試合を重ねるごとに緊張してしまい、雰囲気にのまれてしまいました」と言い、徐々にパフォーマンスが落ちていきました。しかし最終戦へ向け、「昨日は躊躇している部分もあったので、思い切って打つことを今日は意識していました」と気持ちを切り替え、3Pシュートやドライブから次々とシュートを決めていき、15点を挙げる活躍。「所属チームでも得点を取ることが自分に求められていることなので、その確率をまず上げていきたいです。また、ディフェンスはまだまだなので、チームに戻ってからも意識してがんばらないといけません」と、大会を通じて前向きな課題が与えられました。

 4年後、2020年に東京オリンピックがやってきます。今回のメンバーたちにとっては、これから努力して日本代表に選ばれることがオリンピックのメンバー入りにつながります。しかし最後に、萩原ヘッドコーチはオリンピックに出られることが当たり前ではないことを選手たちに伝えました。
 「私はたまたま(アトランタ)オリンピックに行けましたが、石川(幸子)コーチは何度もその扉を叩き続けたけど行けなかったわけです。今、リオにいる吉田選手や間宮選手たちも何度もオリンピックの扉を叩き続けてようやく行けました。でも、大神(雄子)選手みたいに今回行けなかった選手もいっぱいいるわけです。そんなオリンピックに、2020年は開催国で出場できる可能性が高いということは、すごく大きなことは分かってほしいです。東京オリンピックで自分が活躍するんだ、ということにこだわって、明日からまた1日1日努力を続けてほしいと思います」

 5試合を戦い抜いた女子U-23日本代表チームは、今大会で目標に掲げた優勝は成し遂げられませんでしたが、逆に韓国に逆転負けを喫したことも含め、多くの経験を積むことができました。現在、リオデジャネイロオリンピックで戦っている女子日本代表選手たちは最高峰のレベルを体感しており、その差はまだ遠いと言えます。それぞれが今大会で得た課題を克服し、今後のWリーグで活躍することが4年後につながります。東京オリンピックを見据えて、新たなスタートを切った女子U-23日本代表選手たち活躍にご期待ください。

 
■第38回女子ウィリアム・ジョーンズカップ 最終結果

1位 韓国(新韓銀行/WKBL)(4勝1敗)
2位 日本(4勝1敗)
3位 チャイニーズ・タイペイ代表Aチーム(3勝2敗)
4位 アメリカ選抜(3勝2敗)
5位 チャイニーズ・タイペイ代表Bチーム(1勝4敗)
6位 タイ(0勝5敗)

■大会MVP
韓国 #13 KIM Dan Bi

■大会ベスト5
韓国 #13 KIM Dan Bi
日本 #7 藤岡 麻菜美
日本 #13 馬瓜 エブリン

チャイニーズ・タイペイA #3 PENG Szu-Chin
アメリカ #8 KING Kristina