ニュース

【新潟全中2024レポート】大会1日目 予選リーグ敗退も収穫を得た敷島中学校と錦城中学校

2024年8月23日

 本日より新潟県長岡市と三条市で「令和6年度全国中学校体育大会 第54回全国中学校バスケットボール大会(以下、新潟全中2024)」が始まりました。初日は5会場で男女の予選リーグが行われ、2日目から始まる決勝トーナメントに進出する16チームが決まりました。

 そのうち長岡市市民体育館で行われた女子の予選リーグには、昨年度の優勝校である京都精華学園中学校(近畿・京都)と、一昨年度の優勝校である四日市メリノール学院中学校(東海・三重)が、組み合わせこそ異なりますが、それぞれ登場しました。両校はそろって予選リーグを2勝し、1位通過で決勝トーナメント進出を決めています。

 彼女たちのような実績のあるチームがしっかりとした戦い方で勝ち上がるのに対して、予選リーグで姿を消すチームもあります。しかし、予選リーグで敗退したからといって、それらのチームに力がなかったわけではありません。それどころか自分たちの良さを出し切ったことは、今後への大きなステップになるはずです。

 京都精華学園中学校と同じ予選Lリーグを戦ったのは甲斐市立敷島中学校(関東・山梨)です。2敗で決勝トーナメント進出はなりませんでしたが、女子では最少のロスター10人で戦う敷島中学校は、平均身長も155.3センチの、いわゆる小兵チームです。
「実は山梨県勢としては男女を通じて初めて出場する全中だったんです。でも出場するだけでなく、関東ブロック大会を勝ち抜いた自分たちの戦い方を全中でもやろうと臨みました。それが出せた時間帯もありましたが、まったく出せない時間帯もあって、そこが悔やまれるところです」と、敷島中学校を率いる石川秀人コーチはそう振り返ります。
それでも全員でよいスペーシングをしながらドライブ、ヘルプディフェンスが素早く寄ってくれば、キックアウトから3ポイントシュートを、遅ければアタックし続けてフローターシュートを狙っていました。

 中心にいたのは#10 林 紅葉選手(1年)です。林選手は今年3月に行われた「第55回マクドナルド全国ミニバスケットボール大会」にも、敷島南ミニバスケットボールスポーツ少年団のメンバーとして出場していた中学1年生です。

「1年生でポイントガードとして出させてもらいましたが、ポイントガードとしての戦いがまだまだ弱いと感じたので、今年のジュニアウインターカップや、来年、再来年の全中、その年のジュニアウインターカップで頑張りたいです」

 ポイントガードとしての戦い方だけでなく、フィジカルコンタクトで吹き飛ばされたことや、3ポイントシュートの精度が低かったことなど、反省ばかりを口にする林選手。それでも京都精華学園中学校のビッグマンを前にしても怯むことなくアタックし、フローターシュートを決めきる彼女が、これからどんな成長曲線を描くのか。林選手だけでなく、敷島中学がどんな「小兵バスケット」を追求していくのか。小さくても戦えることを改めて示してくれた彼女たちの今後に期待したいと思います。

 四日市メリノール学院中学校のいる予選Kリーグを戦い、こちらも結果として2敗で新潟全中2024を終えたのが加賀市立錦城中学校(北信越・石川)です。錦城中学には174センチのキャプテン、#4 小嶋 紗英選手(3年)がいます。しかし彼女の高さだけに頼るのでなく、チーム一丸で戦っていました。
「ウチは4番(小嶋選手)、5番(北山小桜選手)、7番(牧川葵雲選手)を中心にしながらも、いつも調子がいいわけではないので、みんなで励まし合って、(足りていないところを)補い合いながら全国までたどり着きました」そのように言うのは錦城中学校の荒木藍コーチです。

「3人が目立つんですけど、それ以外の子がリバウンドに飛び込んでくれるなど、そういったひたむきさが、あの子たちのよいところです」。
その言葉どおり、敗れた2試合とも、ひたむきに戦い、たとえ跳ね返されても、みんなで励まし合って、ゲームに臨み続ける姿勢が印象的でした。その中心にいたのが小嶋選手です。連続して失点をしたり、相手の強さに倒されるシーンなど、チーム全員が下を向いてしまってもおかしくない場面が多々ありました。それでも、誰よりもコンタクトを受けている小嶋選手が笑顔でチームメイトを鼓舞します。

「流れが悪いときに、今までは自分が暗くなってチームメイトに迷惑をかけていたから、全中では自分が明るくして、たとえ自分がミスをしたとしてもチームには悪い影響を与えないように、笑顔で、チームメイトをプラスに導くことが意識していました」

 結果は思ったものではなかったかもしれませんが、自分らしさ、あるいは自分たちらしさを出し切ったことは無駄になりません。荒木コーチがチームを指揮し始めてから4年目。1年目は北信越ブロック大会ベスト8、2年目は同ベスト4、3年目の昨年度は、全中出場を目の前にしながら、最後の枠を争う代表決定戦で敗れています。その悔しさがあったからこそ、今年度の出場があったとも言えます。それを踏まえて、荒木コーチが言います。

 「これまでも一つひとつ経験を積んできて、今日の負けも必要な負けだと思っています。全国大会を知ったことであの子たちももっと上を目指していくと思うので、またジュニアウインターカップを目指して頑張っていきたいと思います」

 敗れてもなお、前を向ける芯の強さを持った中学生とその指導者たちに、未来を期待したくなる予選リーグでした。
 本日(8月23日)からは負けたら終わりとなる決勝トーナメントが行われます。