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【北海道インターハイ/現地レポート④】敗れても得られた成長の足あと

2023年7月27日

北海道・札幌市でおこなわれている「令和5年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(以下、インターハイ)」は大会3日目。男女の3回戦がおこなわれました。圧倒的な点差で勝利したチームもあれば、接戦を繰り広げたチームもあり、ベスト8をかけた試合はいずれも白熱したものになりました。

女子、3回戦は関東ブロック大会優勝の千葉経済大学附属(千葉)と日本航空北海道(北海道)の対戦カード。日本航空北海道(北海道)は、創部4か月で、しかも選手全員が1年生。初出場となるインターハイでは、県立足羽(福井)、県立山形中央(山形)を破って3回戦まで勝ち進んできました。しかし、3回戦の結果は70-89で敗退。チームを率いる矢倉直親コーチも「(千葉経済大学附属は)本当に強いなと思いました。歯が立ちませんでした」と、相手の強さを認めつつ「選手たちは試合を重ねるたびにうまくなっていったので、インターハイに出場できて、経験を積めたことはよかったと思います」と言います。

ほんの数か月前まで中学生だった選手たちが、創部されたばかりチームで全国大会の3回戦まで勝ち進んだのですから、高校生活最初の夏に最高の経験を積めたと言えるでしょう。

彼女たちの躍進の原動力はどこにあるのか、キャプテンの西川葵選手はこう言っています。
「全員が楽しくプレーできていることだと思います。そこに1年生らしい明るさや元気さか加わって、コートのなかだけでなく、ベンチも応援席も全員がひとつになることで、(コートに立っている)自分たちのパワーになっているのかなと思います」

この日も保護者だけでなく、学校の先生方や、日本航空(山梨)や日本航空石川(石川)の選手たちも応援に駆けつけていました。そうした周囲の支えがあったからこそ、彼女たちは1年生でありながらも、持てる力を最大限発揮できたのでしょう。

悔しい思いをしたからこそ気づけた収穫もあると、西川選手はこう続けます。
「千葉経済大学附属は選手一人ひとりの当たりが強いこともそうですが、抜かれたときのカバーや一つひとつの基本がしっかりしていました。私たちもディフェンスをもっと徹底してやらないと全国大会では勝てないと知りましたし、オフェンスではビッグマンの2人に頼りすぎている部分はあるなと感じました。ビッグマン以外の攻めをガード陣がもっと増やして、全員で攻める。そういうチームにしていきたいと思います」

厚くて高いその壁を、1年生で経験できたことは貴重な財産になります。手応えも、課題も、彼女たちにとってはすべてが“伸びしろ”なのです。

これまでに4度のインターハイ優勝を経験しているチームにとっても、3回戦のゲームは成長を実感できる舞台となりました。
男子、延岡学園(宮崎)は3大会ぶりのインターハイ出場です。今の3年生にとって初めて経験するインターハイ。3回戦の相手は第1シードの開志国際(新潟)。12-31で終えた第1Qから巻き返し、第3Qの途中には同点に追いつき、第4Qには一時逆転するなど、開志国際を大いに苦しめました。

結果は80-84と惜敗しますが、チームを率いる楠本龍水コーチはこの試合で選手たちの成長が見て取れたと言います。
「第1Qで約20点の差がつきましたが、私の想定の範囲内でした。そこから選手たちは慌てずに、『ディフェンスではこういうところを守っていこうとか、(普段とは異なる形だけど)割り切って我慢してやろう』といった指示をしっかりと遂行してくれました。バスケットは流れのスポーツですが、最近はその流れを自分たちのものにできずにいました。だからこそ、今日はその流れを切らさないようにプレーしてくれたところに、彼らの成長をすごく感じました」
3大会ぶりとなるインターハイの経験は、強豪・延岡学園の選手たちにとって、自信を取り戻す大会になったのではないでしょうか。

創部1年目のチームであれ、過去にインターハイ4度の優勝経験を持つチームであれ、春に、あるいはその前から蒔いてきた種が芽吹いてきました。今夏はその花を咲かせるところまでには至りませんでしたが、このインターハイで勝利に向けて戦った経験は今後の財産になるはずです。