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【北海道インターハイ/現地レポート②】インターハイ開幕!1回戦を終えた勝者たちの明日

2023年7月25日

北海道・札幌市の「北海きたえーる(北海道立総合体育センター)」をメイン会場とした、「令和5年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(以下、インターハイ」が開幕しました。
初日となる25日は男女の1回戦がおこなわれ、そのなかには6月24日から7月2日までハンガリーでおこなわれた「FIBA U19ワールドカップ2023」に出場した男子U19日本代表の選手やコーチ、また7月10日から16日までヨルダンでおこなわれた「FIBA U16女子アジア選手権大会」に出場した女子U16日本代表の選手やコーチもいました。

中部大学第一(愛知)を率いるのは男子U19日本代表でアシスタントコーチを務めた常田健コーチです。その中部大学第一は高岡第一(富山)に対して前半を36-43の7点ビハインドで折り返します。第3Qに逆転をして、結果としては88-77で2回戦に進出しましたが、内容に物足りなさがあったようです。
「今年度のチームはどのチームと対戦しても競り合う試合が多いチームです。県大会でも、東海ブロック大会でもそうでした。全国大会の1回戦でもこうかなのと。ただそれは相手の問題ではなく、私たちの問題です。」
常田コーチが認めるとおり、今日の中部大学第一は、点差を離したいと思う時間帯にもうひとつ突き放せない、そんな展開が続いていました。

「FIBA U19ワールドカップ2023」に帯同しチームを離れた間、選手たちが「コーチが不在なのだから、自分たちの問題は自分たちで解決しよう」と、主体性を持って練習に取り組むことを期待していました。常田コーチは選手たちにさらなる高みを求めます。

「やはり自分たちのエラーを修正できなければ相手のエラーは見つけられません。自分たちが間違っていれば、その間違いを素早く、的確に判断、修正することによって、相手のミスを突くこともできるのです。しかし自分たちが冷静でないうちは、相手のエラーすら探すことはできません。相手のエラーが見えていないから、結果的に競るゲームになっているのだと思います。」
明日の2回戦は地元・北海道の東海大学付属札幌と対戦します。戦い方を変えなければいけないと常田コーチは言います。しかし、苦しんで勝ったからこそのメリットもあります。今日の試合が第1試合だったことで、明日の試合までに修正の時間があることです。苦しんだ初戦をどう次に生かすか。中部大学第一の2回戦、対東海大学付属札幌のゲームは注目カードの1つと言えるでしょう。

女子の四日市メリノール学院(三重)は、17年ぶりの出場となる県立秋田中央(秋田)を81-72で下し、2回戦進出を決めました。四日市メリノール学院を指揮するのは、女子U16日本代表でアシスタントコーチを務めた稲垣愛コーチです。稲垣コーチはこれまで同中学のコーチをしていましたが、昨年度から高校も兼任することになり、彼女自身にとっては初のインターハイ出場。しかも初勝利になります。

「全国大会での勝利というのは、高校も中学も同じ喜びがあります。それよりも、中学時代になかなかプレータイムを与えられなかった子や、高校からわが校に来てくれて努力を重ね大きく成長した子どもたちが、勝利という結果を残してくれたことが嬉しかったです。全国大会だし、もっと緊張するかなと思っていたんですけど、今日のような頑張りを見せてくれたことが何より嬉しいです。」

稲垣コーチもまた、インターハイ直前とも言っていい今月中旬の2週間、女子U16日本代表への帯同でした。しかしヨルダンから帰ってきたとき、稲垣コーチは感嘆の声をあげたと言います。「子どもたちが私の不在の2週間を踏ん張ったというものが見えたんです。ヨルダンから戻ってきたら、『おお!』と。子どもたちにも『この2週間、よく頑張ったね』と言えるものでした」もちろん出発前には「私がいないときが一番大事だよ」と伝えたと言い、こう続けます。「志摩(香奈子)がチーム先導してくれています。あの子がいるのであまり心配はしていなかったです。」
志摩選手は四日市メリノール学院中学からの持ち上がりではありませんが、稲垣コーチの下で高校3年間、その考え方をしっかり学んできた選手がいたからこそ、チームがひとつにまとまり、インターハイを迎えることができたのです。

稲垣コーチ自身、「FIBA U16女子アジア選手権大会」を通して改めてディフェンスの重要性を感じたと言います。
「ポジショニングからすべてにおいて、たとえば、ここはトラップだよとか、シューターのディフェンスは寄ってはいけないよとか、そういう約束事はあります。でもまずは、ポジショニングをもっと深く行きなさいと。アジアに出るとサイズやストライドの幅が違ったりするから、その代わり日本は機動力で勝負するよ、と女子U16日本代表の選手たちには伝えていました。前からプレッシャーかけ続けて、相手にストレスかけさせる、その考え方は四日市メリノール学院でもまったく同じです。」

世界に出て実感し、学んだことを自チームにも浸透させることで、ひいては高校生年代、あるいは中学生年代での育成、強化に繋がることが期待されます。
四日市メリノール学院は明日、土浦日本大学(茨城)と対戦します。土浦日本大学は1回戦で101得点を取ったチームです。選手たちが自ら紡ぎ出した一体感を持って、ディフェンスをベースにどのようなゲームを展開するか、こちらも注目のカードです。

中部大学第一も四日市メリノール学院も、結果は同じ勝利ながら、次の試合の迎え方が分かれます。トーナメント形式の試合においては、短期間の間で修正する、あるいは継続することが重要になってきます。もちろん、それはこの2校だけに限りません。
明日からは男女のシード校の試合も始まります。1回戦を勝ち抜いたという経験をどう生かすか。高校生たちの熱い夏はまだ始まったばかりです。