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【四国インターハイ/現地レポート⑥】男女準決勝 – 初優勝に挑む者と、連覇を絶たれた者 –

2022年7月31日

 香川県高松市を中心とした「令和 4 年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会 (以下、インターハイ)」の大会 5 日目が終わりました。今夏の男女ファイナリストは、最終日の試合順に示すと、以下のとおりになりました。

女子 京都精華学園 (京都)
   大阪薫英女学院 (大阪)

男子 福岡第一 (福岡)
   開志国際 (新潟)

 女子の京都精華学園は明日、インターハイとして初めての決勝戦に臨みます。昨年度のインターハイでは準決勝で、ウインターカップでは決勝戦で、それぞれ跳ね返された桜花学園 (愛知)を 3 回戦で破って、その勢いを駆っての決勝戦進出です。
 ゲームをコントロールするのは 2 年生ポイントガードの #11 堀内桜花選手。準決勝の、81-39 で快勝した八雲学園 (東京) 戦では、ネックバックパス (首の後ろを通すパス) を繰り出すなど、8 つのアシストを決めています。しかし本人は自らのパフォーマンスに反省しきり。
「まだ自分らしさを出せていないところもあります。きょうも攻められている時間もあったし、ミスのある時間帯もありました。明日の決勝戦も簡単に勝てる相手ではありませんし、(試合が終わった時点では、対戦相手が) どちらになるかわからないけど、今日のようなミスが出たらダメだと思います。しっかりと最後まで気を抜かずに頑張りたいです」

 試合直後にはわからなかった決勝戦の相手も、上記のとおり、大阪薫英女学院に決まりました。同校とは近畿ブロック大会の決勝戦でも対戦し、そのときは 74-84 で敗れています。しかし当時はコンディション不良の堀内選手だけでなく、#10 八木悠香選手も U16 日本代表活動のために出場していません。つまり下級生ながら主力メンバーである 2 人を欠いての近畿ブロック大会準優勝だったというわけです。この結果をどう捉えるか。
 少なくともそのときの決勝戦に出られなかった堀内選手は、明日のインターハイ決勝戦に向けて、そのときの借りを返す意識を高めています。
「大阪薫英女学院は昨年のウインターカップの準決勝でも対戦しています。そのときは序盤から点差を開くことができましたが、後半になるとディフェンスに綻びが出て、追い付かれてしまった記憶あります。今年度の大阪薫英女学院もスピードと得点力のあるチームなので、まずはディフェンスを頑張りたいです。そのうえで、近畿ブロック大会のときには自分と八木がいないなか、周りの選手たちがチームを作ってファイナルまで行ってくれたので、今回は私たちがそれぞれの仕事ができるように頑張りたいと思います」
 大黒柱の #4 イゾジェ ウチェ選手の高さだけでなく、オールラウンドにプレーできる八木選手、そして多彩なプレーでチームをまとめる堀内選手が加わることで、京都精華学園の破壊力はより高まります。
 インターハイの女子決勝戦で近畿勢対決となったのは1985 (昭和60) 年の薫英 (現・大阪薫英女学院) vs.樟蔭東以来、36大会ぶりのことです。その年に勝ったのは薫英高校でしたが、京都精華学園が大阪薫英女学院を上回ることができるのか。女子の頂上決戦はけっして見逃せません。

 一方の男子・準決勝は、昨年度、チーム史上初のインターハイを制し、今夏、連覇を狙った中部大学第一 (愛知) が開志国際に 74-87 で敗れました。男子として2011 (平成23) 年、2012 (平成24) 年の延岡学園 (宮崎) 以来のインターハイ連覇はなりませんでした。

「私が中部大第一に勝つとしたら、そこを突くだろうなと思うところを、やられました」
 試合後、そう振り返るのは中部大一の常田健コーチです。
「今大会はゾーンディフェンスを使わず、マンツーマンディフェンスで乗り切りたいと考えていました。しかし、そうなったときに一番いやだったのが開志国際でした。実際、それぞれ個々のマッチアップを見たときに、(開志国際の) 介川アンソニー翔選手を守り切れず、また武藤俊太朗選手にはリバウンドをつながれてしまいました」
 終わってみれば、介川選手に36得点、武藤選手には 5 本のオフェンスリバウンドを含む10本のリバウンドを取られています。常田コーチが「こうされたくはない」と考えていたネガティブなストーリーが、そのままゲームに反映されたというわけです。

 一方で常田コーチは、個々の能力ではけっして開志国際に劣っていないことを認めます。だからこそ、個々の高い能力がチームの能力に昇華すれば、ウインターカップでの巻き返しも十分に可能だと考えています。
「きょうダメだったのは個々の能力をチーム力に還元できなかったことです。いい加減なオフェンスをしたあとに、いい加減なディフェンスをして相手にシュートを射抜かれる。自分がいい加減なプレーをしてチームが苦しいときに、周りに声掛けができない。自分たちで話し合わない。リーダーシップが取れない。そうしたところができるようになってきたら、彼らの力はまだ伸び代があると思っています」
 74-87 と、最終スコア以上の完敗を認める常田コーチですが、昨年度のインターハイ王者はここで立ち止まりません。もう一度カムバックするために、コーチも含め、全力で冬に向かいます。

 四国インターハイも残すところ、明日の男女決勝戦のみ。いずれのチームにもこの夏の悔いを残さないよう、今出しうるすべてを出し切って、夏の頂へと挑んでもらいたいところです。