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【四国インターハイ/現地レポート④】男女3回戦 -対戦相手に意識を向けすぎた桜花学園、悔恨の夏-

2022年7月29日

 香川県高松市を中心とした「令和 4 年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会 (以下、インターハイ)」の大会 3 日目が終わりました。この結果、男女のベスト 8 が決まり、明日はファイナル 4 をかけた準々決勝となります。

 きょう行われた全16試合のうち、最も注目されたひとつが女子の桜花学園 (愛知) と京都精華学園 (京都) の試合でしょう。ウインターカップや国体を含み過去70回の全国制覇を達成している桜花学園に対して、京都精華学園は近年、急激に力を伸ばしてきているチームです。両校は昨年度のウインターカップ決勝戦でも対戦し、また昨年度のインターハイでも準決勝で対戦しています。そのときは、いずれも僅差ですが、桜花学園が勝っています。しかし今年のインターハイは京都精華学園に軍配が上がりました。

 63-65。4 大会連続の優勝を狙った桜花学園は、その目標を達することができませんでした。
「練習してきたことはやれたと思います。ただ、選手たちには申し訳ないのですが、私の経験不足です」
 そう振り返ったのは、体調不良の井上眞一コーチに代わり、ベンチで指揮を執った長門明日香コーチです (エントリー変更で、今大会は「コーチ」登録)。
「前半、ディフェンスに意識が向きすぎてしまって、オフェンスが重たくなってしまいました。そこでもう少し選手たちを動かせたらよかったのですが……後半は 8 点ビハインドからスタートして、必死に追い上げて逆転をすることもできたのですが、それまでに選手たちがエネルギーを使ってしまい、最後は (京都精華学園の) #4 イゾジェ・ウチェ選手のところ、私たちが一番警戒していたところでやられてしまいました」

 結果的に、警戒していたはずの相手の高さにやられてしまったわけですが、一方できょうの桜花学園には前半から彼女たち自身の硬さも見えました。例年の桜花学園であれば確実に決めているであろうミドルシュートがことごとくリングに弾かれ、ウチェ選手を警戒するあまり、自分のマークマンに簡単に裏を取られて失点するなど、攻守において、波に乗り切れていませんでした。長門コーチもそれを認めます。
「昨年度の対戦から、きょうは接戦になるんじゃないかというネガティブなイメージが選手たちのなかにあったんだと思います。私たちも十分な準備はしてきたので、『大丈夫だよ、自信をもってやろう』とは言っていたんですけど、それでも彼女たちの中に『この試合を超えないと先がない』という、どこか硬さがあったように思います。かなり慎重になっていました。かなり様子見をするようなプレーだったので、もっとアグレッシブに、とは言ったんですが、ちょっと周りを見てしまったように思います」

 それでも 8 点ビハインドでスタートした第 3 クォーター、一気に京都精華学園を捉え、逆転に成功した桜花学園の波状攻撃は、まさに彼女たちらしいバスケットでした。キャプテンの #4 横山智那美選手も「相手を見るのではなく自分たちのやるべきことを徹底すれば、あのような時間帯を作ることはできていました」と、敗戦の中にも、確実に光明を見出していたようです。
 ただ、その後も相手の高さを気にするあまり、自分たちの持ち味である粘り強いディフェンスと、ディフェンスリバウンドを確実に取って、ファストブレイクにつなげる桜花学園のバスケットを、最後まで徹底することはできませんでした。それが “ 桜花学園らしくない ” 敗因だったのかもしれません。

 しかし敗れたとはいえ、これまで女王の名をほしいままにしてきた桜花学園です。このまま引き下がるチームではありません。悔しさをにじませながらも、横山選手は言います。
「きょうは私たちの気持ちの弱さが出てしまったところがあったので、まずは気持ちで相手に勝らなければなりません。また、この試合は継続的な粘り強さが欠けていたようにも思います。全員が簡単なシュートを外すなど、そうした粘り強さがなかったために最後の僅差のゲームになったと思うので、冬はもっと粘り強さをつけていきたいと思います」

 勝者である京都精華の今大会の活躍とともに、敗れてなお、すぐに次の目標を見据えて始動した彼女たちの冬の巻き返しにも期待したい。