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【四国インターハイ/現地レポート③】男女2回戦 -進化し続ける大型ガードが導いたインターハイ初勝利 (北海道・白樺学園)-
2022年7月28日
香川県高松市を中心とした「令和4年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(以下、インターハイ)」の大会2日目が終わりました。
今日から男女のシード校が登場し、初戦の緊張感に多少苦しめられながらも、その多くが本来の実力をしっかりと発揮していました。
一方で、きょうの試合でインターハイ初勝利を挙げたチームもあります。男子・北海道代表の白樺学園です。
今年のインターハイは2年連続4回目の出場となりますが、これまで夏に勝ったことはありません。冬(ウインターカップ)は昨年度の大会でも勝利を挙げていますが、インターハイは昨年度もチーム初戦となった2回戦で桐光学園(神奈川)に敗れています。それだけに今夏にかける思いは強かったようです。
なかでも、チームを率いる宮下真和コーチに「彼は昨夏、不完全燃焼で終わったから、今年の夏にかける思いは強いと思います」と評された彼 ――188センチのポイントガードで、チームのキャプテン、#17 山田哲汰選手の思いは、今日の実践学園 (東京都) 戦で爆発していました。前後半に各一本、チームが持ち味とする “ 走るバスケット ” からダンクシュートを叩きこんでいるのです。しかも2本目はボースハンド (両手)のダンクシュートです。
「これまで全国大会でダンクをしたことはなかったので、今年は絶対やってやろうという気持ちがありましたし、チームとしてもこれまでインターハイでの勝利がなかったので、キャプテンとしてしっかりチームを勝利に導こうと思って、その勢いをつけるためにも叩き込みました」
今春、U18 日本代表候補にも名を連ねた山田選手。母は元 W リーグ選手で、叔母は元女子日本代表 (オリンピック出場経験あり)。「サラブレッド」と言われてもおかしくない山田選手ですが、彼の一番の持ち味は、その人間性にあると言っていいでしょう。チームメートや対戦相手に関係なく積極的に声をかけ、手を差し伸べます。さらにはコートスイーパー (モップ担当) の地元高校生にも、礼儀をもって対応していました。宮下コーチはそれを彼が元来持っているものとし、さらに「(彼の出身地である) 帯広の中学校の先生方も、彼がうまくなって、どんどん上のレベルに行っても、彼のそういう姿勢を高く評価しているんです」と言います。
彼を知る誰もが認める謙虚で、人の言葉を素直に聞ける山田選手だからこそ、プレーヤーとしてもどんどん成長しています。第4クォーターで19点のリードを保っているときでさえ、「気持ちを切らすな。もっとできるぞ」とチームメートを鼓舞するなど、リーダーシップの面では昨年よりも数段レベルアップしていました。スキル面では、初戦の緊張もあってか、本人も「多すぎた」と認める(11本の)ターンオーバーや、宮下コーチが「もっと放ってもらいたい」という 3ポイントシュートの試投数や精度など、まだまだ未完成なところもあります。しかしながら、注目の大型ポイントガードとしてインターハイというビッグトーナメントでゲームをコントロールする貴重な経験を積んでいることは、きっと彼の未来に大きな好影響を与えるでしょう。
チームをインターハイ初勝利に導いた山田選手のいる白樺学園は明日、洛南(京都)と対戦します。洛南は今年度の高校バスケットボールシーンで注目される高校のひとつです。しかし山田選手はこう言います。
「洛南は近畿大会でも全試合を大差で勝っていて、身長の大きい選手も多くいます。ウチはスターターに190センチオーバーがいないので、高さでは厳しい戦いになるかもしれません。でも僕たちは走るバスケットが得意なので、相手のオフェンスをしっかり止めて、自分たちのいい速攻に結びつけられれば、勝利するチャンスはきっとあるかなと思っています」
初戦の緊張をダンク2発で振り払った山田選手が明日、どんなプレーを見せてくれるのか。彼とともにプレーする白樺学園の選手たちがどんなプレーを見せてくれるのか。対する洛南はどう対抗するのか――。その1試合だけを切り取ってみても、大会3日目の明日も “ 熱盛 ” 必至です。