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【北信越インターハイ現地レポート】女子決勝:桜花学園vs大阪薫英女学院

2021年8月15日

3大会連続25回目の優勝に輝いた桜花学園

朝比奈あずさ選手(桜花学園)

 新潟県新潟市でおこなわれていました「令和3年度全国高等学校総合体育大会 女子バスケットボール競技大会」は大会最終日を終え、桜花学園(愛知)が大阪薫英女学院(大阪)を94-65で破り、3大会連続25回目の夏の女王に輝きました。

 結果的に29点差で敗れた大阪薫英女学院でしたが、けっして完敗というわけではありませんでした。立ち上がりこそ連続8失点のスタートとなりましたが、そこから持ち前の機動力を発揮。前半だけで5本の3ポイントシュートを沈めて、第2クォーターの中盤には逆転する場面もありました。

 後半に入って、ジリジリと離されていくなかでも宮城楽子選手がシュートを落としても攻め続ける姿勢を見せ、熊谷のどか選手も3ポイントシュートを打ち続けるなど、選手個々の力を存分に発揮しようという意思が見えました。またエースガードの都野七海選手も得意の左ドライブを徹底して守られる中で「左ばかりを守ってくるんだったら、右で行ってやろう!」と、「練習はしていますが、試合ではあまり使ったことがない」という右ドライブから右手のフローターシューを決めました。自分たちの今できることを精一杯出し切ったという点では、敗れてもなお収穫のあったゲームだったと言えます。

 チームを率いる安藤香織コーチも「高さだけでなく、スピードでも負けました。スピードはもう少し通用するかなと思っていたのですが、(桜花学園の)横山(智那美)選手は速かったですね。シュートの確率でも負けましたし、でもそれが現時点でのウチの力なので、それがわかりました」と言います。

「今の自分たちの力を認めながら、落ち込むことなく、できることをしっかりやっていこうと言い続けてきました。でもそれをやれば、決勝戦まで来られるんだと思えたことは大きな収穫だと思います」

 一方で、前日の大接戦を勝ち抜いた桜花学園の井上眞一コーチはどっしりと構えていました。第2クォーターの中盤で逆転された場面についても「慌てる感じはありませんでした。相手にリードされていても、自分たちのバスケットはできているなと思っていたので、そんな心配はありませんでした」と振り返ります。

 キャプテンの朝比奈あずさ選手も「相手はスピードのあるチームなので、まずはディフェンスで早く戻ることと、自分たちも走ってバスケットをするのが桜花学園のスタイルだと思うので、走ることで負けないよう、自分たちも走って戦おうと思っていました。そこはうまくできたと思います」と言います。持ち前の機動力で勝負に挑もうと考えていた大阪薫英女学院に対し、それさえも桜花学園が凌駕したというわけです。

 もちろん桜花学園のすべてがよかったわけではありません。朝比奈選手は「自分のプレーについては納得がいっていないというか、シュートを決めるべきところで決めきれなかったり、もっとできたところもあったと思います」と振り返ります。井上コーチも「(大阪薫英女学院の)ボディチェックによい角度でパスが入っていませんでした。もう少しいい角度で面を取りたかったのですが……」と認めるとおり、なかなか高さを生かすプレーをさせてもらいませんでした。それでもハーフタイムに気持ちを切り替えて、「自分のプレーを、できることから一からやっていこうと思って」、後半に臨んだ朝比奈選手は2回のバスケットカウントを決めたり、チームメイトにアシストをするなど、エースとしての存在感をしっかりと示していました。

 負けても一定の自信を得たチームがあり、一方で勝っても悔しさの残るチームがいます。それが今年度の高校女子バスケット界のレベルをさらに引き上げ、ひいてはそれが日本の女子バスケット界全体のレベルをも高めていくのでしょう。勝敗やその得点差だけではなく、改めて日本の女子バスケットボールの強さを垣間見せてくれた北信越インターハイ2021でした。