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【北信越インターハイ現地レポート】女子3回戦:大阪薫英女学院 vs 昭和学院、札幌山の手 vs 聖カタリナ学園
2021年8月12日
札幌山の手 vs 聖カタリナ学園
大阪薫英女学院 vs 昭和学院
新潟県新潟市で行われている「令和3年度全国高等学校総合体育大会女子バスケットボール競技大会」は大会3日目を終え、今夏のベスト8が決まりました。僅差のゲームもあれば、思わぬ大差となったゲームもありましたが、インターハイ・ベスト8をかけた3回戦は、選手たちが今出せるすべての力を出し尽くしたゲームとなりました。
地方ブロック予選の結果から実力伯仲を予想されながら、思わぬ大差となったのは大阪薫英女学院(大阪)と昭和学院(千葉)の一戦です。近畿ブロック大会準優勝の前者に対し、後者は関東ブロック大会を負けなしで終えました。もちろん全国的に名の知れた強豪チームなので、その対戦は3回戦きっての好ゲームになると予想されていました。しかし結果は88-63で大阪薫英女学院の勝利。昭和学院は序盤で崩れたディフェンスを最後まで立て直すことができず、悔しい敗戦となりました。
「悪いところがすべて出た試合でした」と昭和学院の鈴木親光コーチは振り返ります。「基本的なことですが、相手を追いかけるとか、ボールを最後まで追いかけるとか、そうしたところで勝敗のすべてが決まったように思います」。高さで優位に立つ昭和学院の選手たちは、機動力を前面に押し出す大阪薫英女学院のバスケットに序盤から劣勢に立たされながら、どこかで「最後はどうにかなるだろう」と思っていたのではないかと鈴木コーチは推測します。しかし大阪薫英女学院の足は最後まで止まらず、慌てた昭和学院のディフェンスはファウルをするなど、終始ペースをつかめませんでした。
そんななかでも鈴木コーチが「日頃から頑張ってくれている選手。だから今日も一生懸命やれていたのかな」と評価点を与えた一人が田平真弥選手です。田平選手は14得点・13リバウンドのダブルダブルを達成しています。チームとしては最後まで大きな波に乗れませんでしたが、それでも田平選手はアタックし続けた思いを、声を詰まらせながら、こう語ります。
「今回は12人という限られたメンバーでやっていて、新潟に来られなかったメンバーのことを考えたら、最後まで頑張らないといけないなと思って、プレーしました」
近くにいないチームメイトの分まで頑張ったことは、必ず今後につながります。課題と収穫のあった北信越インターハイをいかにつなげるか。チームとしても、田平選手自身としても冬に向けた大きなステップアップが求められる、これからの日々になりそうです。
もうひとつ、これまでの実績から注目の3回戦と思われていたのが札幌山の手(北海道)と聖カタリナ学園(愛媛)の一戦です。結果は69-74で札幌山の手が敗れました。「やはり(敗因は)リバウンドとディフェンスだよ」。そう語るのは札幌山の手の上島正光コーチです。その言葉どおり、例年「ニュートラル(リバウンドやルーズボールなど、どちらのボールでもない)ボールの支配」を掲げてチームを作り上げてくる札幌山の手が、リバウンドで36-51の大差で負けています。もちろん聖カタリナ学園の選手たちがボックスアウトやリバウンドを頑張ったからこその結果ですが、そこを課題に挙げられていた札幌山の手の選手たちは、最後までそれに気づくことができませんでした。
それでも上島コーチが将来的に「楽しみな選手だ」と太鼓判を押すのが2年生ながらエースであり、キャプテンでもある森岡ほのか選手です。彼女自身、その自覚が強すぎるため、すべてを背負いすぎて、早い時間帯から体力的にも、精神的にも疲労を貯めていたように見えます。それでも両チームトップの27得点をあげたことはエースの面目躍如といっていいでしょう。
昨年は舘山萌菜選手(現・白鷗大学1年。U19女子日本代表)というスコアラーがいましたが、その舘山選手が卒業し、今年は森岡選手にかかる負担も多くなっています。上島コーチも「ボール運びをして、ポストプレーをして、3ポイントシュートも打って、リバウンドもしなきゃいけない。森岡は大変なんです」と認めます。
それでも彼女は、上島コーチから教わっているポストプレーでの足の運び方や、同校の卒業生であり、東京2020オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表の「町田瑠唯選手のアシストと、長岡萌映子選手のリバウンドの強さ、東藤なな子選手のディフェンスの粘り強さ」を参考に、自身のプレーレベルをより高めようとしています。そうした意欲が、北信越インターハイでは3回戦で敗れましたが、彼女だけでなく、チームをもより高みへと導くのでしょう。
今大会の注目校に挙げられていた昭和学院、札幌山の手は3回戦で姿を消します。もちろんそれは対戦相手の懸命なプレーがあってこその結果ですが、彼女たちもこのまま引き下がるようなチームではありません。注目される強豪チームがこの敗北からどう立ち上がるのか。彼女たちの冬は夏以上に注目です。