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【北信越インターハイ現地レポート】女子1回戦:県立湯沢湘北vs八雲学園
2021年8月10日
県立湯沢湘北62-92八雲学園
佐藤愛華選手(県立湯沢湘北)
東京オリンピック2020での女子バスケットボール日本代表の銀メダル獲得の興奮が冷めやらぬなか、本日より新潟県新潟市で「令和3年度全国高等学校総合体育大会 女子バスケットボール競技大会」が始まりました。今年度の女子日本代表選手の全員がその舞台を踏んだことのあるインターハイで、未来の女子日本代表候補たちはどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。
その初日、県立湯沢湘北(秋田)は八雲学園(東京)に62-92で敗れました。樋渡真コーチは「出だし、なかなかゲームプランどおりに行かなくて、選手の力を引き出せてあげられませんでした。ただ中盤以降、やりたいことに徐々に近づいていったので、その点は評価しようかなと思っています」と振り返ります。
今年度も新型コロナウィルスの影響が続き、東北ブロック大会は中止になりました。より高いレベルの経験を積もうと思えば、各チームとも是が非でもやりたかったところですが、そこは人命第一です。樋渡コーチもそれを言い訳にはしたくないと前置きしながら、やはり「中止は大きかったです」と認めます。今年度の選手たちは中学時代に高いキャリアを積めず、それだけに樋渡コーチはさまざまな試合経験を積み上げながら、彼女たちを成長させようと考えていました。それが叶わず、「インターハイから始まるという感じになっています。ただ強豪校と戦えた、あの雰囲気を感じられたことは大きな経験です。それを忘れないで練習したいです」。
チームの平均身長が171センチの八雲学園に対して、湯沢湘北の平均身長は165.5センチです。5.5センチも低いのですが、なかでも最も身長の低いのが佐藤愛華選手で、152センチしかありません。しかしこのベンチスタートの2年生ガードは八雲学園の大きい選手に対して何度も果敢にアタックをしていました。その結果がチームで2番目の得点となる10得点、チームトップタイの7リバウンドを記録します。樋渡コーチも「小さいけど、速さがあるし、エネルギッシュなので、チームに活気をもたらしてくれる要素は期待しています」と評価しています。
佐藤選手本人は「ガードの自分がうまくゲームを組み立てられなくて、先輩たちの3ポイントシュートを生かせられなかったのが悔しかったです。自分たちならもっとできたと思います」とゲームを振り返ります。それでも普段からチームがうまく回るようにと出し続けている、チームメイトを鼓舞する大きな声は、最後までコートに響いていました。それはきっと今冬への大きな手応えになったはずです。
もちろん課題も多く残りました。「ゲームキャリアが少ない分、ガードとしてはもっともっと経験を積んで、材料を増やしていかないと(女子日本代表の)町田(瑠唯)選手みたいにはなれないでしょう」と樋渡コーチは笑いながら、しかしどこか彼女に期待を込めてそう話します。佐藤選手も東京オリンピック2020での町田選手のプレーに感銘を受けたようで、「町田選手の判断力……自分も生きて、味方も生かすというパスや判断力がとてもかっこよかったので、自分も参考にしたいです。周りの選手は自分よりも大きい選手なので、そのなかでも味方を生かすプレーを自分には必要なのかなと思いました」。
身長が低い選手がみんな町田選手のようになれるわけではありません。しかし町田選手の戦い方に勇気をもらい、それを糧に次のステップアップを目指そうとする選手が県立湯沢湘北にもいました。味方を生かすことで、自分も生きる。湯沢湘北と佐藤選手、そして全国の身長の小さな選手たちの世界も、何かを武器にすることで、これからどんどん開けていきそうです。