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【北信越インターハイ現地レポート】男子 1 回戦:県立能代科学技術 vs. 出雲北陵

2021年7月26日

小松元コーチ(県立能代科学技術)

#7髙橋裕心選手(県立能代科学技術)

 本日より新潟県長岡市で「令和3年度全国高等学校総合体育大会 男子バスケットボール競技大会」が始まりました。初日は1回戦がおこなわれ、一昨年度の準優勝校・北陸(福井)や地元・新潟県代表の開志国際が、それぞれ100点ゲームで好スタート。一方で西海学園(長崎)が延長戦の末に鳥取城北(鳥取)を振り切り、また飛龍(静岡)が駒澤大学附属苫小牧(北海道)を1点差で下すなど、1回戦から白熱したゲームもありました。

 なかでも注目されたのは今春より校名が変わった県立能代科学技術です。「必勝不敗」の旗印の下、全国制覇58回、インターハイだけでも22回の優勝を成し遂げた「県立能代工業」「県立能代西」と統合され、同校名となり、初めて迎える全国大会。結果は101-80で出雲北陵(島根)を下し、新たな一歩を勝利で飾りました。

「相手のジャンプシュートの確率がよく、驚いた前半でしたが、後半は的を絞ってしつこく守ることができましたし、同時にギアが上がって速攻が増えたので、チャンスだなと思っていました」

 今春からチームを率いることになった小松元コーチは試合をそう振り返ります。その言葉どおり、序盤から出雲北陵の#5村上功選手や#8遠藤莉樹選手の高確率なジャンプシュートに苦しんでいましたが、県立能代科学技術も「県立能代工」を思わせる激しいディフェンスや、床に近いところでのボール争いには負けない執着心で徐々にリズムをつかんできました。

「特に後半、相手のターンオーバーを誘ったのは、やはりステイローからのディフェンスからです。そこでチームの流れを作ったのは間違いないと思います」

 校名が変わり、もちろん変わったところもありますが、一方で「能代」らしく泥臭くプレーしていくという伝統は能代科学技術にも息づいているようでした。

 高校バスケット界で金字塔を打ち立ててきたチームだけに、校名が変わるだけで注目は集まります。しかしポイントガードの#7髙橋裕心選手はそうした喧噪を冷静に受け止めていました。

「注目されることを意識すると力んだり、勘違いしてしまいます。特に自分は試合経験が豊富なので、自分が意識してしまうと、みんなも意識してしまいます。自分が冷静になって、チャレンジャーという気持ちで試合に臨んでいました」

 そうした冷静さがチームの勝利につながり、また彼自身も19得点・10リバウンド・7アシストという、「トリプルダブル」まであと一歩という成績にもつながったのでしょう。

 明日の2回戦は福岡大学附属大濠(福岡)との対戦になります。

「福岡大学附属大濠はなかなかこちらが簡単にシュートにいけないくらい激しいディフェンスと高さのあるチームなので、思い切って、自分のために、チームのためにシュートを放り続けるだけです。それこそ『県立能代工業』のようにツーパスでシュートにいけるようなバスケットはやってみたいですね」

 小松コーチがそう言えば、福岡県出身で、高校進学を「県立能代工業(当時)か福岡大学附属大濠かですごく迷った」と明かす髙橋選手も続きます。

「自分たちは小さいので、激しいディフェンスからしっかりスピードで相手を圧倒することができれば、勝つチャンスはあると思っています」

 県立能代工業バスケット部の礎を築いた故・加藤廣志氏は自らの著書に『高さへの挑戦』とタイトルをつけました。つまり先輩たちもまた全国の高さに挑戦するところからスタートし、多くのバスケットファンが知る「県立能代工業」になったのです。

 今年の福岡大学附属大濠は全国でも屈指の高さを誇るチームです。県立能代科学技術もまた、先輩たち同様に、その高さに挑んでいきます。その挑戦が彼らを強くする土台になっていくでしょう。