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「2024年度 JBA 女性コーチ&レフェリーカンファレンス~女性コーチ・審判の輪を広げよう~」開催報告
2025年3月13日

3人のパネリストからのお話に、参加者は興味深く耳を傾けていました

ワークショップでは、性別・年齢問わず、活発な意見交換、情報交換が行われていました
当協会 (JBA) は、2025年 2 月16日 (日) に東京都内にて「2024年度 JBA 女性コーチ&レフェリーカンファレンス」を開催しました。
2019年度から継続して実施してきた本カンファレンスですが、本年度は女性レフェリーの育成を推進する審判グループと連携し、初めて「女性コーチ・レフェリーカンファレンス」として実施。女性が「支える」立場でバスケットボールと関わり続けるために、必要な働きかけについて考える機会となりました。
<第 1 部> 講演 「これまでのバスケットボールとの関わりと現在の取り組みについて」
第 1 部では、以下 3 名の方による講演を行いました。
– 田久保藍子さん(東京都立千歳丘高校教員・女子バスケ部コーチ)
– 広瀬菜津美さん(非常勤講師・都立つばさ総合高校女子バスケ部部活動指導員)
– 横田彩さん(日本女子体育大学女子バスケ部レフェリーブロック)
〇田久保藍子さん
現在は S 級審判として W リーグなどを担当し、過去には国際審判員として海外派遣も経験されています。妊娠・出産を機に一時審判活動を離れましたが、「もう一度 W リーグの笛を吹きたい」という想いや、ご家族からの「子どもの記憶に残るまで続けてほしい」という言葉に後押しされ、復帰を決意。復帰後は、家族や審判仲間のサポートに支えられながら、審判活動と部活動指導を両立されています。ご自身の経験を踏まえ、「恩返しの気持ち」と「新たな目標に挑戦する気持ち」が活動継続の原動力になっていると語られました。
〇広瀬菜津美さん
非常勤講師として保健体育を教える傍ら、都立つばさ総合高校では部活動指導員としてコーチングも担当。大学進学、就職、妊娠・出産といったライフステージの変化で、何度か活動の中断を経験されました。復帰時には時間的な制約や体力面の不安、さらにはブランクに対する不安もあったそうですが、「過去の自分と比べない」という意識の変化や、子どもと一緒にトレーニングする工夫、周囲の理解や働きかけによって、現在も活動を続けられています。
〇横田彩さん
日本女子体育大学のバスケ部に所属しながら、審判活動も継続。高校時代に経験した審判の楽しさや、恩師の影響で教員を志したことが現在の活動につながっています。大学のバスケットボール部には「レフリーブロック」が設置されており、選手と一緒にトレーニングを行ったり、部内練習で審判を担当したり、ルールミーティングを実施するなど、実践的な学びを深めています。試合を選手と一緒につくる喜びや、中高生から「審判に興味がある」と声をかけられることが、大きなやりがいになっていると語られました。
<第 2 部>パネルディスカッション 「バスケットボールと関わり続けていく上での課題や必要なサポート」
第 2 部では、「バスケットボールと関わり続けていくうえでの課題や必要なサポート」をテーマに、登壇者 3 名によるパネルディスカッションを実施。これまでの関わり方を振り返りながら、活動が中断されるきっかけや復帰のための取り組みについて話し合いました。
妊娠・出産による中断がクローズアップされがちですが、実際には大学進学や就職など、男女を問わず起こり得るライフイベントも大きな要因となっています。さらに「プレーヤー以外の関わり方」への認知度が低いこと、コーチや審判の社会的地位が十分確立されていないことも課題として挙げられました。
田久保さんからは「お手紙大作戦」をきっかけに審判復帰したエピソード、広瀬さんからはルール変更への不安などを審判仲間の情報共有によって乗り越えた経験が語られました。こうした事例から「自ら行動を起こす勇気」と「周囲のサポート」の双方が、中断からの復帰を支える重要なポイントであることが示唆されました。
また、審判の割り当て情報を早期に共有することで、スケジュール調整しやすくなるなど、制度面での改善の必要性も話題に上がりました。
こうした議論を通じて、「バスケットボールと様々な立場で関わり続けるには、まだ多くの課題がある」ことが再確認されました。
一方で、「細く長く関わり続けることが大切」という広瀬さんの言葉のように、困難に直面しても完全に関わりを断ち切らず、できる形で関わり続けることの重要性も共有されました。
<第 3 部>ワークショップ 「バスケットボールに関わる女性が増えていくために、できることを考えよう」
第 3 部では、3~4 名のグループに分かれてワークショップを実施。
第 1 部・第 2 部を踏まえ、登壇者の①キャリアの転機・継続に関わる課題と、②それを乗り越えたポイントを「内的要因」「外的要因」に分類しながら整理。そのうえで、今後の女子プレーヤーや周囲の女性コーチ・審判のために、何ができるかを話し合い、全体で共有しました。
〇参加者の声
– 「状況を変えるために、自ら行動することの大切さを改めて感じた」
– 「プレーヤー以外の道 (審判や指導者) もやりがいのある選択肢だと知ることができた。子どもたちがプレーヤーとして夢を叶えられなかったときにバスケから離れてしまうのは残念。審判やコーチという道もあることを伝えていきたい」
など、前向きな感想が多数寄せられました。