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2024年度コーチデベロッパー講習会(第1回) 開催報告

2024年10月9日

ゴール設定の様子

ファシリテーション実践の様子

当協会(JBA)では、2024年8月14日(水)、9月7日(土)~8日(日)の計3日間、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)において、2024年度第1回目となるコーチデベロッパー講習会を開催しました(8月14日についてはオンライン講習)。

コーチデベロッパー講習会は、JBA公認C・D級コーチ養成講習会を担当するコーチデベロッパーを養成するものです。コーチデベロッパーは、いわゆる「コーチのコーチ」のことを言い、C・D 級コーチ養成講習会に参加したコーチを育成するという役割を担います。今回も全国各地から合計14名の受講生が集まりました。

本講習会では、受講生が C・D 級コーチ養成講習会を実際にファシリテートする「ファシリテーション実践」をメインとしており、受講生はあらかじめセッションプラン (指導案) を作成して実践にのぞみ、実践後は他の参加者やトレーナー(いわゆる「コーチデベロッパーのコーチ」)からフィードバックを受けます。このように実践の準備、ファシリテーション実践、振り返りというサイクルを回す中でコーチデベロッパーとしての能力を身に付けていきました。

●受講生のコメント
○飯塚 智里さん/岩手県/県立大東高等学校(U18)、成年女子(一般)
6年前、時を同じくしてチームのある保護者さんから「先生、もっと選手を誉めた方がいいよ」と助言を頂きました。正直、素直に受け止められない自分がいて、しばらくは怒鳴り続けていましたが、少しずつ行動を変え、自然と思考も変わっていきました。選手にもイキイキした表情や笑顔が増え、私自身も心が穏やかになり、思考にも余裕ができました。

当時、高校生だった彼らが大学を卒業し教員や地域の指導者となって活躍し始めています。とても嬉しい気持ちであると同時に、当時の指導者としての私を倣ってほしくないという懺悔の気持ちも湧いてきます。コーチデベロッパーの資格を取得しようと思ったきっかけは、お声がけいただいた事も一つですが、自分自身がコーチングについて学び続け、若い指導者の方々の力になりたいという思いも相まってのことでした。

事前課題に取り組んでいる時も講習会中も、「コーチング」か「ファシリテーション」か、自分の立場がブレないように「帽子を付け替える」事に困惑しました。自分自身のファシリテーション実践は、まだまだ修正が必要で反省点ばかりでしたが、他の受講生のみなさんのファシリテーションに参加する中で、コーチの学びが深まる感覚を体験することができました。質問されることで頭が整理できたり、議論や共有する中でカテゴリーが異なればプレーが変わることに気づくことができました。そのような中でデベロッパーとして大切な事は、「準備」「ゴール設定」「受講者の実態把握」だと感じました。準備では、質問への様々な回答を想定しておく事、無駄を削ぎ落とす事、時間が余った時に追加することなどです。ゴール設定については、セッション中は常にこのゴールに向かい、ブレないこと、達成度が明確でありその場で評価できることが重要だと感じました。

2日目の講習では、バスケット以外を専門とする志の高い学生さんたちがコーチ役としてセッションに参加してくれたおかげで、自分の立場がブレにくくなりましたし、C級D級コーチ養成講習会のイメージが持ちやすかったです。学びの場を工夫してくださったトレーナーの佐良土さん、岩見さん、田代さん、事務局の中瀬さん、協力してくださった学生さんたちに心から感謝いたします。今後も、この講習会で出会えた仲間やトレーナーの方々との繋がりを大切にし、学び続けて行きたいです。貴重な機会と深い学びをありがとうございました。

〇水上 浩さん/石川県/U12男子
『あらたな発見を持ち帰る』
2022年度キッズサポートリーダー養成講習会を受講していた私は 「コーチデベロッパーも大人に教えるという意味では同じかな」と思い受講してしまいましたが、コーチデベロッパー講習会を受講して、ファシリテーションをすることの奥深さに気づくこととなりました。特にファシリテーションスキルについて、新しい知識を多く提供するだけではなく、HOWの部分「どのように~ができるようになる」、「ゴール設定⇔プル⇔プッシュ⇔事前課題(キーワード)」 があるからこそ、より深い学びにつながることに気づきました。

ファシリテーション実践では、受講者役としてバスケット未経験者の大学生も協力してくださいました。日頃、バスケ仲間では 何気なく使っている言語(例えば、インラインなど)が通用しないこと、ディスコミュニケーションをどの様に改善すればよいかを体感することができました。わかりやすく説明するスキルとして、共通の言語から言葉選びができることが重要だと気づきました。

最後に、JBA事務局の皆様をはじめ、講習会に関わってくださった全ての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。偶然にも同受講者で2011東日本大震災を経験された方がいらっしゃって、復興に向けての歩みや 『バスケで日本を元気に!!』なれる前向きな話ができたことも、とてもありがたかったです。

これからも「新たな発見をする=知識を吸収する」だけではなく、「うまくいかないことを深く掘り下げていくこと」を続けていこう思いました。