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平成28年度全国バスケットボールコーチクリニック 開催報告
2016年8月4日
Luka Pavicevic(ルカ・パヴィチェヴィッチ)氏による「トランジションゲーム」のクリニック
3種類のウォーミングアップドリルについて紹介するShawn Dennis(ショーン・デニス)氏
7月23日(土)に日本女子体育大学、翌24日(日)に慶應義塾大学中等部において、平成28年度全国バスケットボールコーチクリニックを開催しました。
今回は、今年9月に開幕するB.LEAGUE(B1)に必要なコーチライセンス資格、JBA公認S級コーチ養成講習会の講師として来日した2名のコーチを招いて、「強豪国のトップコーチから学ぶ」をテーマに、クリニックを実施しました。
初日の7月23日(土)は210名、2日目の24日(日)は207名の方が参加し、2名のトップコーチの声に耳を傾け、オンコートで繰り広げられるクリニックに熱心に見入っていました。
初日の講師は、セルビアから来日したLuka Pavicevic(ルカ・パヴィチェヴィッチ)氏。
プレイヤーとして、ヨーロッパ選手権で優勝(U-16,18)、FIBAジュニア世界選手権で優勝(1987年)、ユーロリーグで優勝(1989-1991年)。コーチとして、U-20セルビア代表のヘッドコーチを務め、2011年に中国・深センで行われたユニバシアード競技大会でセルビア代表ヘッドコーチで優勝。また、セルビア、ドイツ、フランス、モンテネグロリーグでヘッドコーチ経験があり、プレイヤーとしてもコーチとしても輝かしい経歴を有するトップコーチです。
テーマは「トランジションゲーム」。オフェンストランジションを中心に、オンコートでのクリニックが行われました。
まず、オフェンストランジションの考え方や目標、ファストブレイクが始まる3つの状況について、クリニックがスタート。ディフェンスリバウンドからの5on0のファストブレイク、3on0では5on0で示されたファストブレイクの全体像から、さらに詳しいファストブレイクを始める状況設定。個々のプレイヤーの役割と必要なスキル、プレイヤーのレーンの埋め方、スペースのつくり方、パスの出し方、ドライブに対する合わせ方など、きめ細かい説明がありました。
後半では、5on0や4on0を連続して行うドリルの中で、疲労が出てきた中での3on0で示されたレーンの埋め方、スペースのつくり方を継続して行うこと、そしてプレイヤー同士のコミュニケーションを強調した内容となりました。
最後は、2on1や3on2でのフィニッシュ(シュート)について、「アウトアンバーを攻めるとき、そのやり方を選手は既に知っていると思い込んではいけない。走るべきレーン、スペースをつくることを常に教え続けていかなければいけない」と、一人のディフェンスで二人のオフェンスを守ることができないスペースについて、常に強調していました。
2日目の講師は、オーストラリアから来日したShawn Dennis(ショーン・デニス)氏。
ニュージーランド女子代表チームのヘッドコーチや、オーストラリア、ニュージーランドの各リーグのヘッドコーチとして活躍し、オーストラリアとニュージーランドの両リーグにおいて最優秀コーチ賞を受賞しています。2015-16シーズンでは、タウンズビル・クロコダイルズというチームを率いて、11勝17敗と負け越していながら、自身が最優秀コーチ賞を獲得し、チームからMIP賞や新人賞が選出されるという偉業を成し遂げています。
クリニックでは、コーチの責務や役割と、ティーチングの方法論に関する話から始まり、プレイヤーのスキルアップを図ることもできる3種類のウォーミングアップドリル、①ボールを2つ用いての2人1組のパッシングドリル、②パッシングとフィニッシュを組み合わせたドリル、③シューティングのフットワークに関するもの、3点について紹介がありました。
次いで、1on1のディフェンスに関しては、クローズアウトからボールマンとのスペーシングのポイント、ジャブステップへの対応、ドライブへの対応、オールコートの1on1など、細かく状況を設定し、それぞれの状況に応じたポイントについて説明がありました。
最後に、「日本人はドライブができるアドバンテージある。そのアドバンテージを生かすべき」だとして、ドライブに対するオフボールのレシーバールールについて説明がなされました。
選手を育てる、育成するという考え方がベースにある内容であり、コーチが最後に話した「ジュニア世代を指導するということは、彼らの将来を預かっている責任があるということ。彼らの成長を横において勝利を目指すのであれば、それは自分自身のためにやっていることになる」という言葉が腑に落ちる内容となりました。
両日を通して、参加者からは「海外のコーチから理論的で系統だった講義を聞くことができてよかった」「指導の狙い、哲学など大変勉強になった」「細かいところまで要求しており、バスケットボールIQが上がるように選択肢を自分で決定することを要求したドリルが多くてよかった」「セルビアやオーストラリアといった強豪国のコーチの話を聞けたことや、実際の指導を垣間見ることが出来たことは素晴らしい機会だった」「チームディフェンスの要のクローズアウトだけでも明確で詳細のチェックポイントを示してもらえた」などの声が挙がっていました。
これ以外にも、運営面に関する課題も寄せられており、指導者の皆さまによってより良いものになるよう、改善していきたいと考えています。
次年度も、指導者への情報提供、資質向上の機会として、またコーチライセンス取得者のリフレッシュ研修の機会として、全国バスケットボールコーチクリニックやコーチカンファレンスの開催を予定しています。
リフレッシュポイントが必要でない永年資格のE-1級やE-2級、また、コーチライセンス取得されていない方もD級以上のライセンス保持者とは条件が異なりますが、誰でも参加可能となっております。
来る12月23(金)・24日(土)には、東京都内にて「JBAコーチカンファレンス」を開催する予定です。開催の詳細が決定次第ご案内しますので、ぜひご参加ください。