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「2024年度JBA公認D級コーチ養成講習会(女性コース)」開催報告

2024年12月17日

様々な意見交換をし、実践をしながらの実技講習

2日間一緒に学び合った仲間と笑顔で記念撮影!

当協会(JBA)では、2024年11月9日(土)、10日(日)にJBA公認D級コーチ養成講習会を開催しました。本講習会は、昨年度に続く2回目の取り組みとして、受講者を女性に限定した「女性コース開催回」として実施いたしました。

ここに至る背景として、近年、スポーツにおける女子・女性の参画が推進されています。バスケットボールでも同様に、国際バスケットボール連盟(FIBA)が2020年に“FIBA Women in basketball survey report 2020”を公表し、女子バスケの発展に取り組む姿勢を表明しました。その方針の1つに、女性コーチの育成について言及されています。

JBAでは2019年度から女性コーチの推進に取り組んでいますが、現状としては日本国内のバスケットボールの登録競技者の割合は男子・男性53.2%、女子・女性46.8%であるのに対し、コーチライセンス取得者でみると女性割合は22.6%にとどまっています。この現状を踏まえ、女性コーチ推進・支援の一環として、D級コーチ養成講習会の女性限定コースを開催することとしました。女性がコーチライセンスを取得しやすい機会として、また女性コーチ同士がつながる機会として、一つのきっかけになればという思いが込められています。

講習会には全国から33名の方にご参加いただき、2日間様々な意見交換を交えながら受講をしていただきました。参加した皆さんが大変積極的に、集中して、そしてとても素敵な笑顔で講習を受けられている姿が印象的でした。
主催する側としても、コーチライセンス講習会を受講する背景や、そこで学びたいこと、期待することは様々であること、また何か一つ工夫をすれば変わる環境があったり、変えられる状況があることを私たちも学ばせてもらった大切な機会となりました。今後はより一層、コーチの皆さんを取り巻く環境への支援・活躍推進のため、活動していきたいと考えています。

<受講者のコメント>
◆石川 深雪さん/東京都/指導対象カテゴリー:U12
バスケットを長く続けていますが、どんどん進化するバスケ業界、新しい言葉も増えて、ついていけていない気持ちもありました。コーチに興味があり、資格を取りたい気持ちはありましたが、知識豊富な印象のある男性コーチの中にいたら、より自信がなくなるのではないか、という心配がありました。そんな中、女性限定のコーチ養成講習会の存在を知り、女性だけならば!と思い、申し込みました。スケジュールの中に、自分に自信がない項目もあり、これは絶対に何かを掴んで帰ろうと思いました。

講習会は参加する前から始まっていました。事前学習がこんなに!?と思って始めたら、自分の理解しているところ、理解していないところが明確になり、自分を見直す機会にもなりました。講習会はコーチデベロッパーの方が、全員女性だったことにも安心感が生まれました。初日はみなさん同様な緊張感がありましたが、そこもデベロッパーの方が心理的安全性を確保できる気遣いや心遣いを適宜入れてくださり、講習会のメンバーとの距離も縮まりました。講習会でのゴール設定のポイントを学んでからの振り返りは、できた・できないが明確になり、nextに繋げられると感じました。コーチングの手法は、バスケットだけでなく、仕事や育児にも使える、学びだと感じました。

ワンハンドショットの講習後、より深く学びたい!と思い、指導が上手だったと聞いた大学生の参加者に指導してもらい、自分の理解をより深めることができました。リバウンドは、女性同士なので、しっかり身体を当てながらプレーでき、他の参加者の指導も、真似したいポイントがいくつもありました。自分がプレーヤー側となり、指導受けると、しっかりと相手に届く伝え方があることが実感でき、自分がコーチ側をする時に活かせられました。積極的な関わりができたのは、コーチデベロッパーの方に参加者同士のコミュニケーションを促してもらえていたからだと思います。実技の時間は、コーチ側プレーヤー側どちらも経験するので、プレーヤーの気持ち、コーチの伝える難しさを身をもってわかることができました。コーチ役の難しさも、講義を受けた伝え方のポイントを使うと、改善されるのが自分でもわかりました。

家族の予定が合わず、子どもの預け先が見つからなかったのですが、託児のサービスを利用できたことで、2日間しっかり学ぶことができました。昼の時間は一緒に過ごせたので、お互い安心して午後も過ごせることができました。この学びをチームに活かし、自分もスキルアップしていきたいと思います。

◆加藤 敏子さん/東京都/指導カテゴリー:U18
参加する前は事前課題や講習会の長さに気が重くなり、何度もキャンセルするかどうか葛藤がありました。講習会を終えた今は、参加して本当によかったと感じています。そして、次の講習会に早く参加したい!と思っています。そのように感じた理由は、大きく二つあります。

1つ目は素晴らしいコーチデベロッパーの方々に出会えたことです。講習が始まる前はとても緊張していましたが、心理的安全性を確保するためのアイスブレイクから始まり、セッションの1つ1つでは多くの学びがあっただけでなく、学びの中でも受講生が自ら考え自分なりの答えを導き出せるような講習内容にしてくださっていました。コーチデベロッパーの方々の「私たちもこの機会を楽しみにしていました」との言葉や常に明るくポジティブな言葉がけや笑顔、様々な状況がありつつも、「この場を優先」してくださったコーチデベロッパーの方々に出会うことができ、自身もこのようなコーチでありたいと感じました。前に立って話す人の雰囲気の大切さを改めて感じ、教員としても1回1回の授業にこのような姿勢で望みたいと思いました。

2つ目は学ぶ意欲に溢れたコーチの方々に出会えたことです。年齢や競技歴、カテゴリー、コーチ歴は全く違う一人ひとりでしたが、受講生一人ひとりの前向きに学ぼうとする雰囲気が講習会を更に良いものにしてくれたと感じています。人前で話すのが苦手だと感じつつも、挙手をして自分の考えを全体でシェアしてくださった方、若いながらもたくさんの知識を持ち、その知識をひけらかすわけではなく謙虚な姿勢で教えてくださった方々。人間力を持った尊敬すべきコーチの方々と出会えたことは、この講習会の大きな意義だったと感じています。講習会に参加したことで、前向きに学ぶ集団の重要性を再認識しました。集団になった時に、個は埋没するのではなく、集団の雰囲気を作る一人ひとりになる。だからこそ全員の学ぶ姿勢が大切であると感じました。

今の日本では、女性が仕事と家庭の両立をしていくことは、周囲の方の協力なくしては難しいことも多いと思います。また時には、周囲の人(特に家族)に我慢を強いることもあるかもしれません。それでも、「バスケットが好き」だからこそ、向上心を持って学び続け、バスケットボールを通してたくさんの人と関わり、関わった人が元気になってくれるようなコーチを目指していきたいです。その姿を通して、「バスケットが好き」でバスケットと関わり続けたいと感じてくれるプレーヤーを育て、一緒に成長していきたいと今回の講習を通して思いました。

このような素晴らしい講習会を企画、運営してくださったすべての皆様に、そして快く送り出してくれた生徒、同僚の先生方、家族に心から感謝します。