ニュース
アメリカバスケットボール界のアイコン、カーメロ・アンソニー氏 FIBAバスケットボールワールドカップ2023グローバル・アンバサダー就任のお知らせ | 一覧へ | FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選Window 6レフェリーの派遣について |
「2023年度JBA公認D級コーチ養成講習会(女性コース)」開催報告
2023年2月24日
コンタクトのある実技内容も遠慮なくできている姿が印象的でした!
女性コーチの皆さまの活躍を応援しています!
当協会(JBA)では、2023年2月17日(土)、18日(日)にJBA公認D級コーチ養成講習会を開催しました。本講習会は、JBA主催のD級コーチ講習会では初めての試みとなる、受講者を女性に限定した講習会となりました。
ここに至る背景として、近年、スポーツにおける女子・女性の参画が推進されています。バスケットボールでも同様に、国際バスケットボール連盟(FIBA)が2020年に“FIBA Women in basketball survey report 2020”を公表し、女子バスケの発展に取り組む姿勢を表明しました。その方針の1つに、女性コーチの育成について言及されています。
JBAでは2019年度から女性コーチの推進に取り組んでいますが、現状としては日本国内のバスケットボールの登録競技者の割合は男子・男性60%、女子・女性40%であるのに対し、コーチライセンス取得者でみると女性割合は24%にとどまっています。この現状を踏まえ、女性コーチ推進・支援の一環として、D級コーチ養成講習会の女性限定コースを試験的に開催することとしました。女性がコーチライセンスを取得しやすい機会として、また女性コーチ同士がつながる機会として、一つのきっかけになればという思いが込められています。
講習会には全国から23名の方にご参加いただき、2日間様々な意見交換を交えながら受講をしていただきました。以下のコメントにもあるように、実施をしてみて初めて気づくことが多々ありました。今後は、この形にとらわれることなく、いただいたコメントや気づきなどをもとに、コーチたちを取り巻く環境に対し支援し、推進していけるように活動していきたいと考えています。
<受講者のコメント>
◆山賀 南実さん/東京都/大学生(現在は指導チームなし)
今回の講習会は初めての女性限定での開催ということで受講することを決めました。受講者の皆様、スタッフの皆様、コーチデベロッパーの皆様全員が女性というとても新鮮な環境でした。その安心感からか、普段は中々口に出すことのない悩みや不安も共有することができて、積極的にコミュニケーションをとることができたように感じます。また社会では段々と女性の進出は進んでいますが、バスケットボールにおいては女性のコーチの資格取得状況はとても低いということを知りまた。その背景には私もそうだったのですが、やはり講習会を受講する時間がとれないという方や、多くの方が男性という中で受講することに抵抗、不安を感じている方がいらっしゃるということがあるのではないかと感じました。今回の講習会では多様な年代の女性の方々と交流をしたため、生涯を通してバスケットボールと関わっていく女性の力をとても感じました。
JBAによる開催のため全国から受講者が集まり交流ができたというのもとても新鮮で貴重な機会でした。普段は自らの所属している都道府県、カテゴリーのみを意識することが多いのですが、今回様々な都道府県、カテゴリーで活動をしている人々と関わることで、普段なかなか知ることのないそれぞれの現状や課題を認識できました。また、そこから日本全体のバスケットボールの現状、課題を感じることができたと思います。「バスケで日本を元気に」というスローガンの意義も、自分にとっても身近なものとして、よりよく理解できたように感じました。
今回の講習会で特に感じたのは、全国各地で指導することができるコーチと、バスケットボールをすることができる環境が不足しているという現状です。熱意を持った子どもたちが何不自由なくバスケットボールの楽しさを感じ活動していくことができるような環境整備をしていくことが課題だと感じました。そのためにこのような講習会をより充実させることや、全国各地にコーチデベロッパーの皆様やプロカテゴリーで活躍していた選手の皆様などが赴いて子どもたちに実際に指導を行うなどの機会があるととても嬉しいと思います。また、そういったことを通して日本全国でバスケットボールが盛り上がっていくのではないかと思います。
大変多くのことを学び、考えさせられた2日間でした。ありがとうございました。
◆小沢 愛香さん/長野県/大学生(指導カテゴリー:U15)
講習会と聞くと講師の方の授業を受け、学ぶ場所と想像すると思いますが、この講習会はコーチデベロッパーから問いが投げかけられ、受講者同士で問題を解決していくといったような方法でした。23人の考えを集めると色々なやり方が見つかり、バスケットボールには答えがないんだなということを実感しました。
今回の講習会は、女性のみということで特に実技の方では女性同士気を使うことなくできました。色々なカテゴリーを指導している方々との意見交換ができ、とても良い機会になりました。選手にとって試合にも勝ち、さらに楽しいと思える選択をしていくためにも正しい指導が出来る女性の指導者が沢山増えてくれると嬉しいなと思いました。
2日間運営してくださった全ての方々に感謝致します。ありがとうございました。
◆村上 慈さん/北海道/一般(指導カテゴリー:U15)
本格的なプレーヤーとしての経験はなく、部活動顧問としてバスケットボール部を率いるのは初めてでした。中体連大会後のU15の全道、全国へつながる大会については、コーチがD級コーチライセンスを持っていない場合、地区大会1回戦までのオープン参加しかできないと大会要項を見て知りました。実際、チームは地区でも弱く、勝ち上がれる実力がなかったのですが、生徒たちは私に「先生、そろそろ試合で勝ちたいです。」というので…私にも火が付きました。
チームは、地区大会で1勝もしたことがないという現状ですが、生徒が試合で勝つことを目標にしているのに、「顧問の都合で勝っても負けても1回戦で終了」という悲惨なことにはしたくないと思い、D級コーチライセンス取得を目指しました。趣旨に書いてあった「女性コーチ推進・支援の一環」「女性がコーチライセンスを取得しやすい機会」「女性コーチ同士がつながる機会」という言葉に励まされ、いい学びの機会だと思いキャンセルすることなく事前課題に取り組みました。事前課題は、指導教本を調べたり、ネットで検索したり、生徒やバスケットボールを知る家族に助けてももらいながら、講習で教えてもらおうと持った箇所がいくつかありましたが一通りやることができました。この事前課題が今思えば、とても良かったと思っています。バスケットボールの基本といっても、広く漠然としていてどこから学べばいいのかよくわからず半年間過ごしてきたので、事前課題を通して、どのような視点でバスケットボールという競技と向き合っていくといいのかということがよくわかりました。
2日間の講習会は、北海道から思い切って参加してみて、本当に良かったです。講習前は不安もありましたが、和気あいあいと楽しく有意義な時間を過ごすことができました。コーチデベロッパーのみなさんが常に笑顔でさわやかで、豊富な知識と経験、コーチとしての情熱と使命が感じられ、私も感化されました。そして「バスケで日本を元気に!」「一緒に学ぶ」「共に成長する」「常に学び続ける!」と様々な言葉に感動しました。
講習会では「ゴール設定、知識の習得、実践、振り返り」の流れが学びを深めてくれました。また、GOOD/BAD(MORE)/NEXTの視点が細かな気づきにつながりました。チームとしては、ゴール設定からの振り返りやGOOD/BAD(MORE)/NEXTの視点をプレーヤーである生徒が身につけることが大事だと知れたので、普段の練習でも取り入れたいです。
女性限定だったということで、実践プレーの場面では、女性同士ということで遠慮することなく体で当たることもでき、今まで気づくことができなかった学びがありました。実際に体を動かし練習メニューづくり、リバウンド、1on1、スペースを作る動きの確認、タイムアウトでの言葉がけなど、すぐに使える試合にいかすための技術や知識も、より具体的に学ぶことができたのもとても良かったです。1回で理解できなかった私のリクエストに応え、何度か繰り返し教えていただけたのも大変ありがたかったです。
初めて会った受講生同士でしたが、とても良い関係性を持てて、有意義な時間を過ごすことができました。他のカテゴリーとの交流ができたのも良かったです。ミニに携わっている方々の練習アイディアは、練習を楽しませる要素が豊富でした。高校は、より高い戦術や根拠とともに練習メニューが作られていて、勉強になりました。社会人の方々は、プレーヤーとしても経験があり、違った視点での考えも聞けたのが、ありがたかったです。男性だけという環境はあっても、女性だけという環境はなかなかないように感じていて、交流がしやすかったのがよかったです。
最後は私にとって別れがたい良き仲間になっていました。いつも笑顔で明るく、親切丁寧に、わからない私のために時間を割いて教えてくださった受講生の仲間のみなさんに心から感謝しております。またどこかでお会いしたいです! とにかく楽しくて、もっと学びたいという気持ちになりました。今回だけでは身につけられなかったものや実践してみてまた生まれた課題をもって、次回の機会にもぜひ参加したいです。チームに戻って、生徒とともに日々成長していきます。