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男子U22/女子ユニバ日本代表:FISUワールドユニバーシティゲームズ開幕戦「ゴールのような大会をしっかりとスタートにできるかどうか」網野友雄ヘッドコーチ | 一覧へ | 「2023年度全国バスケットボールコーチクリニック」開催報告 |
【北海道インターハイ/現地レポート⑤】インターハイのベスト4が出そろい、大会はクライマックスへ
2023年7月28日
北海道・札幌市でおこなわれている「令和5年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(以下、インターハイ」は大会4日目。男女の準々決勝がおこなわれ、インターハイのベスト4が決まりました。男女のベスト4は以下のとおりです。
【男子】
開志国際(新潟)
日本航空(山梨)
東山(京都)
福岡第一(福岡)
【女子】
大阪薫英女学院(大阪)
桜花学園(愛知)
京都精華学園(京都)
札幌山の手(北海道)
女子、準決勝第1試合、大阪薫英女学院は序盤から聖和学園(宮城)にリードを奪われます。大阪薫英女学院の安藤香織コーチは、反省も込めて、そのシーンをこう振り返ります。
「思っていた以上に聖和学園さんの圧力が強かったです。立ち上がりから強く当たられて、選手たちの気持ちが引いてしまいました。もちろん油断をしていたわけではなく、むしろ私たちがプレッシャーかけなければいけないところを、先にプレッシャーをかけられ、インサイドで強くプレーされたことで、立ち上がりに一気に緊張モードになってしまいました」
昨年度のインターハイでは準優勝に輝いた大阪薫英女学院ですが、主力だった当時の3年生が卒業。新チームになってからは、足りない部分を補うためにバスケットにより真剣に向き合い、昨年度のチームでは取り組めなかった、いくつかの種類のディフェンスを準備してきたと言います。
第2クウォーターに追い上げ、第3クウォーターの序盤には再び跳ね返されるという嫌な展開になりましたが、そうした準備してきたディフェンスで仕掛けて、流れを呼び戻し、逆転勝利へと結びつけました。
明日の準決勝は桜花学園との対戦になります。
「昨年度のウインターカップがベスト8で終わったこともあって、インターハイでも準々決勝が、ひとつ緊張する試合になるだろうと思っていました。そこを勝ち抜けることができましたが、試合内容に課題を感じる部分もあったので、明日はむしろ開き直って逆に思い切ってプレーしてくれるかなと思っています。ディフェンスの戦術もたくさんあるわけではありませんが、変化を加えることで、いい流れを掴みたいと思います」
メインコートになる明日の第1試合は、大阪薫英女学院がディフェンスでどのような仕掛けをしてイニシアチブを取ろうとするのか、注目です。
男子の東山と藤枝明誠(静岡)の対戦は、いずれもオフェンス力に定評のあるチーム同士のぶつかり合いとなりましたが、勝負を分けたのはディフェンスでした。
藤枝明誠のトップスコアラー、赤間賢人選手はこの試合で40得点をあげています。チームの総得点が79点ですから、半分以上を赤間選手がスコアしていることになります。そこだけを切り取れば、赤間選手の並外れた得点能力が浮き彫りなりますが、彼を守っていた東山の小泉広翔選手は失点しても下を向くことなく、赤間選手を徹底的にマークしていました。いわゆる“フェイスガード”と呼ばれる、常に相手オフェンスと向き合っている状態で守り、赤間選手にストレスを与え続けていました。
東山の大澤徹也コーチも、赤間選手の飛び抜けた得点能力を認めているからこそ、東山きってのディフェンダー2人を赤間選手にマークさせようを考え、そのうちの1人がもうひとつ調子をあげられなかったため、「時間が長引いてもいいから、今日は小泉と心中しようと思ったんです。そうしたら彼も私の思いに応えてくれました」。
結果として、赤間選手には東山の失点の半分以上を取られているわけですが、小泉選手には「お前がやっていることが第4クウォーターに効いてくるから」と言い続けたそうです。小泉選手は失点をしても、気迫を出し続け最後まで守り抜きました。
一方の赤間選手は、インターハイを通じて、もうひとつシュートタッチが定まらずにいました。しかしこの日は小泉選手という手ごわいディフェンスに守られたことによって集中力が高まったところがあると認めます。
「オフボールでのディフェンスは厳しかったですが、ボールを持ったときのプレッシャーはこれまでと変わらなかったので、ピックプレーや1対1で攻めることはできたと思います」
敗れてもなお、自信を持ってプレーできていたと言いますが、こう付け加えます。
「第4クウォーターの終盤、ピック使ったときに逆サイドからのヘルプが寄ってきていました。そのときに周りをうまく使うことができていなかったかなと思います」
東山が誇るエースキラーをマークにつけたとしても、赤間選手の失点を防ぐことは容易ではありませんでした。しかし大澤コーチが考えていたとおり、小泉選手の執拗なディフェンスによって、勝敗が決するゲームの最終盤、赤間選手の判断にわずかな綻びが生じ、勝敗が決していったのです。
明日の準決勝でも、それぞれのチームが戦略・戦術を駆使しながら、一方で「これが私の生きる道」と言わんばかりに熱い気持ちを押し出して戦う選手が出てくるでしょう。果たしてファイナルに進むのはどのチームか。明日の男女準決勝は今日以上に熱い戦いになるはずです。