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男子U22日本代表:オーストラリア遠征レポート「今後の目標設定も考え方もすべてを変えていかなければいけない」田中流嘉州選手
2023年3月7日
一人ひとりが目的を持って臨んだことで明確な課題を持ち帰ることができたオーストラリア遠征
自身の代表経験を踏まえ、気持ちで引かないことを強調する網野友雄ヘッドコーチ
2月28日(火)より3月6日(月)までのオーストラリア遠征を終えた男子U22日本代表が無事帰国しました。オーストラリアの競技力強化を担うAIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)と、世界から有望な若手を集めるNBAグローバル アカデミーの混成チームと3試合を行い、結果は3連敗。「ディフェンスはマンツーマンだけ、オフェンスはトム・ホーバスヘッドコーチが目指す日本代表スタイルを引き継ぎ、ペイントアタックと3ポイントシュートを意識して臨みました」と話す網野友雄ヘッドコーチは、現時点での実力で世界との差を知る機会にします。
相手はU20世代であり、高校生もいますが、一番身長が低い選手で195cm。機動力ある220cmを超える選手など、すべてのポジションがミスマッチとなる大きな相手。網野ヘッドコーチは試合前、「相手の方が上手いとか、強いといったイメージを作りがちになるが、それだけは絶対にするな」と強調します。自身も22歳のとき、ジェリコ・パブリセヴィッチ元ヘッドコーチに見出され、はじめて日本代表として参戦した「ヨーロッパ遠征を思い出しました」という経験があるからです。
「1試合目というのはいろんな違いを肌で感じ、私自身もすごくショックを受けました。でも、試合をしていけばその違いにも慣れていき、少しずつできることが増え、それが自信につながっていくものです。今回の遠征では、選手たちが日に日に良くなって行く姿が見られました。結果は3連敗でしたが、得るものも多かったです」
相手のギアが上がった瞬間に為す術がなくなり、最初の2戦は58-100、64-95と大敗を喫しました。しかし、3戦を通じて少しずつ慣れ、自分たちのバスケができる時間帯が増えていきます。Window6をはじめ、オーストラリア代表としてFIBAワールドカップ2023 アジア地区予選に5試合出場した18歳のアレックス・トゥーイー選手をはじめ、NCAA強豪校への進学が決まった逸材を揃え、相手もベストメンバーで臨んできた最終戦。結果は62-87、25点差の敗れましたが、少なからずその差を縮めることができました。網野ヘッドコーチは「強化してきたことを精度よく遂行できれば、もっと得点につなげることができ、勝ち星も見えるような展開になる手応えは感じました。しかし今回の遠征では、シンプルにシュート成功率が悪かったです。絶対に決めて欲しいオフェンスの形を作りながらも、シュートが決まらなかったです」と課題が明確となり、ここから積み上げて行きます。
200cmの木林優選手(筑波大学3年)にとっても、「相手は大きかったです。予想はしていましたが、それでも相手の大きさに対応できず、リバウンドを獲られてしまいました。この遠征に向け、目標としていた3ポイントシュートを積極的に打つことはできましたが、手を伸ばしてチェックしてきた大きな相手がどうしても気になってしまい、確率良く決められなかったのが大きな課題です」と振り返ります。3試合を通じて成功したのは4本でしたが17本放っており、3ポイントシュートを狙うメンタリティーを養うことはできました。あとは決めるだけ、今回対戦した相手をイメージしながら打ち続けていくしかありません。
唯一の1年生であり、ディベロップメントキャンプには招集されたなかった田中流嘉州選手(大東文化大学)ですが、3試合すべてで先発出場。「インサイドもアウトサイドでもプレーできる」強みを生かしつつも、「リバウンドが自分の仕事」というパワーフォワード。世界の高さに対する免疫のなかった初戦こそ2本でしたが、2戦目は6本、3戦目も5本のリバウンドを奪って役割に徹します。「最後は相手の高さで負けてしまった部分も多かったです」と反省点を挙げる田中選手ですが、同じくらいリバウンドに自信を持つことができました。
世界のトップを目指す同世代との対戦は、バスケの技術以外でも多くの刺激を受けました。NBAグローバル アカデミーに在籍するブラジル出身のオーグスト・カッシーア選手と、以前バスケをした経験がある田中選手。奇跡の再会を果たし、「今後の目標やそのためにどんな努力をしているかを聞いて、自分はまだまだだと思わされました。今後の目標設定も考え方もすべて変えていかなければいけないと思えたことが良かったです」と言い、ビジョンが広がる機会になりました。
横浜ビー・コルセアーズからNBAグローバル アカデミーへ進んだジェイコブス晶選手も対戦相手として3試合とも出場し、初戦は14点と活躍。マッチアップした田中選手は、「タフショットを決め切られました。こちらがシュートチェックをしに行っても、そこから決めてくる強さがありました」という差を実感するとともに、同世代として負けられない気持ちも芽生えています。
この遠征を通して技術向上はもちろんですが、AISで学んだ栄養管理など将来に向けて生かしていかなければなりません。網野ヘッドコーチは、「経験してきたことをすべて感じ続け、それぞれのチームに戻った後の取り組みがすごく大事になる。どこに自分が力を注いでいけば良いかをしっかりと考えて前に進んでいこう」と選手たちへ伝え、遠征を終えました。
今年7月28日より中国・成都で開催される「FISUワールドユニバーシティ―ゲームズ」まで3ヶ月余り。木林選手は「シュートの確率を上げること、試合終盤のきつくなった時間帯に決め切る力がまだまだ足りなかったです」と話せば、田中選手も「フィジカルの差を実感し、リバウンドではもっと身体を当てていかなければいけないです」と言うように、一人ひとりが明確となった課題に取り組んでいくことが、日本代表強化につながります。
■オーストラリア遠征 試合結果
[第1戦]U22日本代表 58(12-20|16-20|18-32|12-28)100 COE NBA Global
[第2戦]U22日本代表 48(19-24|14-20|9-20|6-31)95 COE NBA Global
[第3戦]U22日本代表 62(16-26|14-15|20-17|12-29)87 COE NBA Global