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「第 7 回 JBA コーチカンファレンス (オンライン)」開催報告
2022年1月5日
貴重な話を聞かせてくれたトム・ホーバスコーチ (写真上) とフリオ・ラマスコーチ
パネルディスカッションの様子。まだまだ話を聞きたくなる有意義な内容でした
当協会 (JBA) では、去る2021年12月25日 (土)・26日 (日) の 2 日間、オンラインでの「第 7 回 JBA コーチカンファレンス」を開催。25日は610名、26日は530名ほどの皆さんがオンラインで参加し、男子日本代表のフリオ・ラマス前ヘッドコーチと女子日本代表のトム・ホーバス前ヘッドコーチが登壇し、東京2020オリンピックへ向けた取り組みやその成果、実際に使用した戦術などの資料が披露されました。
トム・ホーバスヘッドコーチは新たに就任した男子日本代表について、同じく今季から女子日本代表を率いる恩塚亨ヘッドコーチも、2024年パリオリンピックへ向けた取り組みについて紹介。テクニカルレポート制作に携わる JBA 技術委員会 テクニカルハウス部会の冨山晋司部会長は東京2020オリンピックを戦った男女日本代表を様々な数字を用いて振り返り、その成果と課題点を示してくださいました。
カンファレンスの最後には、公益社団法人日本プロサッカーリーグ (Jリーグ) 理事であり、「教えないスキル ~ビジャレアルに学ぶ 7 つの人材育成術~」の著者、佐伯夕利子氏を招き、「プレーヤーの主体性を重視するコーチングについて考える ~育成年代から代表レベルまで~」をテーマに、女子日本代表の恩塚ヘッドコーチ、女子アンダーカテゴリー日本代表の藪内夏美ヘッドコーチ、モデレーターとして JBA 技術委員会スポーツパフォーマンス部会の佐藤晃一部会長らが、それぞれの現場での体験談をもとにパネルディスカッションを実施。カンファレンスに参加したコーチたちにとっても有意義な気付きの場となりました。
■カンファレンスの主な内容
◎ DAY 1:12月25日 (土)
【セッション1】カンファレンスイントロダクション
スピーカー:東野智弥 (JBA 技術委員会 委員長)
<主なトピックス>
・TOKYO2020までの道のり
・2021コーチカンファレンスイントロダクション
・長期的な強化方針
【セッション2】女子日本代表の東京2020オリンピックの振り返りと男子日本代表のこれから
スピーカー:トム・ホーバス (前女子日本代表チーム ヘッドコーチ / 男子日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
女子日本代表:TOKYO2020までの振り返り
・チームコンセプト
・アナリティック・バスケットボール
・大会までの取り組み (オフェンス / ディフェンス)
男子日本代表:PARIS2024へ向けたこれからの取り組み
・チームコンセプト
・アナリティック・バスケットボール
【セッション3】男子日本代表の東京2020オリンピックの振り返り
スピーカー:フリオ・ラマス (前男子日本代表チームヘッドコーチ)
<主なトピックス>
男子日本代表:TOKYO2020までの振り返り
・ゲームシステム
・2017年から4年間で見えた成長
・若きタレント発掘の重要性
・男子日本代表へのアドバイス
・ゲーム・スタイル (オリンピックへ向けて構築されたプレー原則やチームルールなどが詳細に記されたレポートとプレー動画を紹介)
◎ DAY 2:12月26日 (日)
【セッション1】テクニカルレポート ~東京2020オリンピックの振り返り~
スピーカー:冨山晋司 (JBA 技術委員会 テクニカルハウス部会 部会長)
<主なトピックス>
・テクニカルハウスとは
・東京2020オリンピック女子日本代表の分析
・東京2020オリンピック男子日本代表の分析
【セッション2】女子日本代表のこれから
スピーカー:恩塚 亨 (女子日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
・今後の目標「パリ2024オリンピックで金メダル獲得」
・我々の目的「夢を与えられる存在になること」
・世界一のアジリティーの追求
・原則=最適解
・ワクワク
・ヘッドコーチのミッション
・マインドセット
【セッション3】プレーヤーの主体性を重視するコーチングについて考える ~育成年代から代表レベルまで~ (パネルディスカッション)
パネリスト:恩塚 亨 (女子日本代表チーム ヘッドコーチ)
パネリスト:藪内夏美 (女子アンダーカテゴリー日本代表チーム ヘッドコーチ)
パネリスト:佐伯夕利子 (公益社団法人日本プロサッカーリーグ 理事)
モデレーター:佐藤晃一 (JBA 技術委員会 スポーツパフォーマンス部会 部会長)
<主なトピックス>
・コーチングを変化させたきっかけや、その過程における葛藤
・楽しむメンタリティーで取り組むチームこそ勝者
・勝利至上主義と育成至上主義のバランス
・規律の必要性について
■参加者からのコメント
(トム・ホーバスコーチのセッションについて)
「今回、コーチカンファレンスに参加できてとても良かったです。オンラインでしたが、ホーバス氏のお話を直接聞けたことが自身のためになりました。
オリンピック前の国際強化試合のオフェンス / ディフェンスのシステムが気になっていたので戦術・戦略について伺えたのは大変良かったです。また、育成世代において大事な『チームワーク・ファンダメンタル・自分のチカラを信じる』ことの大切さを学ばせていただきました。自分たちのバスケットを貫く大切さは改めて感じさせられました」
(フリオ・ラマスコーチのセッションについて)
「コーチがもつべき哲学として、知識、コミュニケーション力、信頼関係が必要とのお話が参考になりました。特に信頼関係について、発言=行動でなければならない、言っていることと、していることが違っていては信頼関係が崩れる要因となる、との考え方は大きな示唆を与えてくれました」
(冨山晋司氏のセッションについて)
「数値やデータ分析は非常に苦手でしたが、専門家の説明で初めて親近感というか、数字やデータとの付き合い方がわかりました。相手の攻撃や自チームの PPP (Points Per Possession) やエリア別シュート比率をうまく分析できると戦略の後押しになるということが目に見えて理解できました。テクニカルハウスの方のみならず、アナリティクス職がどんどん増えると良いなと感じました」
(恩塚コーチのセッションについて)
「恩塚コーチの目指す “世界一のアジリティー” はまさに身長であまり優位性を持てない自チームの状況とリンクし、ものすごく参考になりました。プレーの考え方もさることながら、どういうマインドでバスケットボールに取り組むと選手たちが最大限の能力を発揮するか、非常に考えられており、バスケットボールのコーチとしてはもちろん、その枠を超えて仕事などでも活用できる人の育て方、人にやる気を出させる手法などを学べた気がします。
自分も以前はいわゆるオールドスタイルのコーチでしたが、B 級コーチ講習会をきっかけに自分も変わろうと決め、今のチームの選手たちには練習方法や戦術も含め主体性を尊重し、選手とともに考える指導に変え、年度のチーム目標が達成できたという成功体験があるので、2022年はさらなる成長ができるよう、恩塚コーチのような選手とチームを輝かせられる、ワクワクするチーム作りを目標に頑張りたいと思います」
(パネルディスカッションについて)
「皆さんの貴重なお話、本当にためになりました。特に佐伯さんの、変化ではなく進化しなければならない!との言葉は胸に響きました。また、コーチングとは選手を否定しない、ジャッジしない、人に対して攻撃しない。この言葉は本当に自身を振り返るよいきっかけになりました。
パネリストの考え方や胸の内が聞ける貴重な時間を本当にありがとうございました」
「人を変えるためには、まず自分を変えることが大切だということが心に残りました。自分自身がどんなコーチングをしているのかを徹底的に分析し、指導方法も進化させていくことや、指導者の決めつけの思考を排除し、一人ひとりの可能性を信じて待ってあげることの大切さ、声かけ (言葉選び) の重要性を学ぶことができました。自分が発する言葉とプレーへのフィードバックに齟齬が生じることがないよう徹底することを、明日からの練習で実践したいと思います」
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パネルディスカッションの最後に佐藤部会長が、「JBA が日本を良くするのではなく、参加していただいた皆さんと一緒に良くしていきたいと思っています。全国の他の指導者にも聞いてほしい。皆さんがこのような話を日常的にしていくことで、どんどん日本は良くなっていきます。一緒にがんばりましょう」と話していたとおり、参加者がアウトプットして広めることが日本のコーチングを豊かにしてくれます。
今後とも皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
※今回のカンファレンス動画については後日オンデマンドでの配信を予定しています。
オンデマンド配信に関する詳細は、後日決定し次第、あらためてご案内します。