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【北信越インターハイ現地レポート】女子準々決勝:岐阜女子 vs 開志国際

2021年8月13日

開志国際 #4 堂脇さち選手

今日の敗戦を糧に次の舞台へ

 新潟県新潟市でおこなわれている「令和 3 年度全国高等学校総合体育大会 女子バスケットボール競技大会」は大会 4 日目を終え、今大会のベスト 4 が決まりました。岐阜女子 (岐阜) と大阪薫英女学院 (大阪) 、桜花学園 (愛知)、そして京都精華学園 (京都)
です。

 3 大会ぶりのインターハイ制覇を目指す岐阜女子に 40-56 で敗れたのは地元・新潟県代表の開志国際です。序盤から岐阜女子の伝統ともいうべき激しいディフェンスに苦しみ、守っても岐阜女子のセンター、アググア・チカ・チュクウ選手の高さと強さ、ガードの藤澤夢叶選手のドライブを守り切れませんでした。

 開志国際を率いる伊藤翔太コーチも完敗を認めます。
「チームディフェンスでも、個々のプレッシャーのかけ方も、試合をする前からウチとは差があることはわかっていましたし、実際に戦ってみてもそれを実感しました。ただそれをわかったうえで何をするかが、この試合のポイントだったと思います。その狙い所自体はけっして間違っていなかったと思います」
 ただ開志国際が突いてくる狙い所を岐阜女子が丁寧に対応し、その岐阜女子の対応に対しての「次の一手を冷静に突いていく判断力がウチには足りていませんでした」と伊藤コーチは言います。

 それでも今大会のポイントのひとつに挙げていたリバウンドでは、高さに勝る岐阜女子に対し、前半をイーブンで終えるなど、一定の手応えもありました。最終スタッツでもわずか 5 本下回っているだけです。それだけにやはり、開志国際がオフェンス戦術のなかに組み入れている 2 対 2 で、相手が対応してきたときの次の一手をやりきれなかったことが勝敗を分けたようです。

 ただそれは「これまでウチが練習をしてきていなかったこと」と伊藤コーチは言います。多くのチームがそうであるように、開志国際もまたコロナ禍で思うような練習ができず、そのなかで今夏に向けては「強さ」を求めてきました。それが上記のように互角の結果に終わったリバウンド数にも表れています。

 一方で、練習でやってきたことを出せずに悔しい思いをした選手もいます。チームの得点源でもあるキャプテンの堂脇さち選手は、岐阜女子の厳しいディフェンスの前に11得点に終わってしまいました。
「自分の役割は得点を取りに行くことなので、前半は攻めて、タフショットでも決めに行こうと思っていました。でも後半に入ると岐阜女子のディナイが激しくなって、それでも自分がボールを受けに行ったり、2 対 2 をしっかりやらなければいけなかったんですけど、岐阜女子のディフェンスを振り切れず、練習してきたことをやりきれませんでした」

 厳しい結果に終わったゲームのなかでも、あえて手応えや収穫を問うと、堂脇選手は「うーん」と約 7 秒間沈思し、「しっかりボールをもらって、自分たちのピックに対して、岐阜女子の留学生が出てこないディフェンスをしてきたときに、誰かにパスをするよりも、ミドルシュートを打つことは何本かはできたかなと……」と絞り出しました。負けても、何かしらの収穫は少なからずあるものですが、今日のゲームに関してはそれさえも絞り出さなければならないほど完敗だったと自認していたということでしょう。

 たとえハッキリとわかる手応えが見当たらなかったとしても、今後の課題を得られたこと自体が収穫とも言えます。
 伊藤コーチも話が堂脇選手に及んだとき、「今後も堂脇がエースであることは変わらないので、冬に向けても彼女自身も覚えてもらいたい動きがあるし、相手が強くなっていけばいくほど、堂脇以外の選手たちがどのような判断をするか。どのように勝負をしかけていくか。彼女一人では勝てません。チームで何を解決していくかがこれからの課題です。それが明確に見えた試合だったと思います」と言い、堂脇選手もこう続きます。
「バスケットボールはチームスポーツです。誰か一人がダメなときに、みんなで崩れないように誰かが耐えるとか、そうしたチームとして挑むことは意識して、冬は必ずリベンジしたいです」

 地元でおこなわれた北信越インターハイが、開志国際の今後に何をもたらすのか。全国トップレベルのディフェンス力を誇るチームに完敗したからこそわかる、次の一手もあるはずです。開志国際が次にどんなチームになって、全国の舞台に戻ってくるか、楽しみにしたいと思います。