ニュース

平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプ 第1回キャンプ開催報告

2016年9月23日

鈴木 良和コーチのもとに練習のコンセプトを聞く選手たち

2つのボールを使ったパスドリル

 9月17日(土)~19日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプの第1回キャンプを開催しました。
 この育成キャンプは前週に行われた、平成28年度U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプと同様に、未来の日本代表を担うであろう13歳以下の選手を育成するためのプログラムです。日本の今後を考えたときに、ジュニアユース年代から世界で戦うための準備を始めておく必要がある、という考えのもとに始まりました。

 スキルトレーニングを受け持つ鈴木 良和コーチは「3日間のキャンプだけでさまざまなことが習慣化される、技術が身につくと考えるのは現実的ではない」と言います。そのうえで全国各地から男子20名、女子19名、総勢39名の将来有望な選手を集め、キャンプを敷く意味について、こう続けます。
「彼ら、彼女らが今まで考えたことも、感じたこともなかった『バスケットボールはそこまで深く考えるのか』、『世界と戦うためにはそこまで意識しなければいけないのか』ということを感じたり、考えたりできるキャンプにしたい。そうして彼ら、彼女らがそれぞれの地元に戻ったときに、技術を高めるにはここまで考えなければいけない、徹底しなければいけない、そして何となくプレイするのではなく、目的を持って練習をしなければいけないということを、全4回のキャンプを通じて伝えていきたいと思っています」

 それは東野 智弥 技術委員長が口にする「日常を世界水準にする」というフレーズを体感させるものでもあります。世界水準の強度でプレイしようと思えば、ファンダメンタルの体得は欠かせません。
「このキャンプを何となく『楽しかった』と言って帰るのではなく、持ち帰る技術やフィジカル、メンタルなどがあって、それを次のキャンプのときまで自分なりに消化してくる。それができればキャンプの意味は深まると思います」

 ナショナル育成キャンプの意義は、地元に帰って、復習することによって初めて成り立ちます。それはキャンプ期間中の練習でも同じことが言えます。2日目の午前は初日に教わったことを、2日目の午後はその日の午前中に教わったことを、選手たちは10分間、2~3人組になって復習します。復習することで、より頭にも、体にも浸透させていこうと考えているわけです。

 技術に関しては、技術委員会が出している日本の課題「ペイントエリアへのアタックスキル」を念頭に練習を進めます。
「1対1でペイントエリアに入っていくことと、パスの判断のレベルを上げていくこと。その2つがヨーロッパ等に対して遅れているところです。特に判断については脳の機能でもあるので、ジュニアユースの時期にしっかりと刺激していきたいと考えています」と、鈴木コーチは言います。

 前述の10分間の復習にしても、選手同士が「ポイントはどこだったのか?」、「なぜそのファンダメンタルか必要だったのか?」を考え、チームメイトと話し合いながら進めるように促していました。何をするか(What)でなく、なぜ(Why)、どのように(How)が大切だと言うのです。
「選手たちは初回ということもあって、緊張や不安で自分の力を出しきれなかったところもあったと思います。ただコーチに教えてもらっている、教わったことをきちんとやろうと考えるのではなく、日の丸を背負って世界で戦おうとなれば、自分から求め、工夫をする必要があります。むしろコーチが要求していないことまでやる選手が出てこないといけません。それを引き出せなかったのは、私の反省点でもあります」
 それでも3日間を通じて、少しずつ選手たちから「こんなことをやってみよう」、「前に教わった練習も取り入れてみよう」といった様子が徐々に見られるようになり、そうしたチャレンジが許されるのもU-13ナショナルジュニアユース育成キャンプの特徴です。

 初回のキャンプを終えた蠣崎 将選手(北海道・旭川市立緑が丘中学校 1年)は「地元では178cmでセンターなのですが、U-13だと最高で190cmの選手がいます。最初は自分が小さいなと思えたのですが、身長が低いからといって勝てないわけではないし、工夫をすれば大きい選手にも勝てるんだと学びました」と話します。

 女子の森末 すず選手(北海道・釧路町立遠矢中学校 1年)もまた、「いつもやっている練習よりもハードでしたが、予想以上に得られるものが多かったです。特に私はワンハンドシュートを身につけようとしているのですが、その練習があったのはよかったです。またオーバーヘッドパスなどは自チームに戻ってからも使えそうなので、活用しようと思います」と振り返ってくれました。

 2人はともに将来の目標を「日本代表選手」と言います。蠣崎選手の中学の卒業生には町田 瑠唯選手(富士通 レッドウェーブ)が、森末選手の中学の卒業生には本川 紗奈生選手(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)がいます。ともにリオデジャネイロオリンピックで活躍した「アカツキファイブ」女子日本代表選手です。
 特に、森末選手は、本川選手へのあこがれ、意識が強く、「本川選手以上に練習しないと世界にも通用しないし、日本代表の中でも活躍できないと思います。本川選手以上に頑張りたい」と意欲を語ってくれました。

 日本代表を目指す選手たちが集まり、お互いが高め合うU-13ナショナルジュニアユース育成キャンプ。
 2回目のキャンプは、9月30日(金)~10月2日(日)の3日間で行われます。

 
■平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプ
 第1回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 9月17日(土) 午後
・形態測定(男子のみ)
・コーディネーショントレーニング
・クリニックⅠ:コーディネーションとドリブルファンダメンタルズ
・フィジカル測定(マルチステージ) (男子のみ)
・栄養指導
・講義

■2日目 9月18日(日) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・クリニックⅡ:認知・判断とパスのファンダメンタルズ

■2日目 9月18日(日) 午後
・クリニックⅢ:1on1エリア2とエリア3のファンダメンタルズ

■3日目 9月19日(月) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・クリニックⅣ:ディフェンスファンダメンタルズ
・スクリメージ

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。