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【3x3AC2022 / 大会総括】3×3男女代表、メダル獲得ならず……にじむ悔しさと、若き芽の台頭
2022年7月12日
【女子 4 位、男子 6 位で大会を終える】
FIBA 3×3 アジアカップは 7 月10日 (日)、ノックアウト方式の決勝トーナメントが行われました。3×3 男女日本代表はメダル獲得を目指して挑みましたが、男子は準々決勝でニュージーランドに 14-16 で惜敗 (最終順位 6 位)。女子は準々決勝でスリランカに 22-3 と大会初の KO 勝利を収めて勢いづきましたが、準決勝で中国に 15-20 で敗れ、3 位決定戦へ気持ちを切り替えて臨んだもののインドネシアに 17-21 で及びませんでした。
男子がオーストラリア、女子が中国の優勝で閉幕したアジアカップ。日本は男女ともに大会を通じて、チームとして成長の跡を見せてくれました。ただ、選手たちは応援してくださる皆様のためにも結果で応えたい気持ちが強くあり、最終戦後には悔しさをにじませました。
【緊急事態のなか、大会で奮闘した男子】
男子は決勝トーナメント初戦となる準々決勝でニュージーランドに序盤の優勢を保てず、逆転を許しました。粘り強いディフェンスから #23 保岡龍斗選手 (秋田ノーザンハピネッツ / SAITAMA ALPHAS) や、#91 落合知也選手 (越谷アルファーズ / ALPHAS.EXE) のポストプレーで先行しましたが、ミスや相手にタフショットを決められ、残り 2 分を切って 4 点差を追う展開になります。ラストワンプレーで同点を狙える状況まで食い下がりましたが、最後は落合選手のシュートが外れてタイムアップを迎えました。
大会を終えて落合選手は「アジアカップでは絶対に金メダルを取りたいという気持ちで臨んでいました。ベスト 8 でニュージーランドに当たると予想できていたなかで、彼らに勝てなかったことは本当に悔しい。今はその一言に尽きます」とコメント。また保岡選手も「勝ち切れず、悔しいです。本当に今回のアジアカップはメダルを取りに行っていたので悔しい気持ちが一番強い」と話しました。
それでも男子はアジアカップ直前にメンバー変更が生じる緊急事態もあったなかで、試合を重ねるごとにチーム力をアップ。予備予選を含めた 5 試合で奮闘を見せました。急遽、合流した #70 小松昌弘選手 (TOKYO DIME.EXE) は「(準決勝で負けたので) 言い訳にはなりますが」と前置きした上で、「(過去の代表活動で) 元々やっていたメンバーと一緒にやる部分がありました。落合選手、保岡選手は僕の動きをよく知ってくれているので、そんなに大きなエラーが起きることもなくディフェンスの大きなベースの部分は問題なく対応ができたんじゃないかと思います」と振り返りました。オフェンスの連係で課題も指摘しましたが、経験値のあるベテランは代表の大きな力になりました。
また、6 月のワールドカップも含めて #0 佐土原遼選手 (広島ドラゴンフライズ) が存在感を見せました。若い芽が出てきたことは、今後の代表チームにとって大きな後押しになるでしょう。佐土原選手は両大会を通じて改善点を感じつつも「誰に対してもアタックする。サイズの大きな選手でも弱点はあります。そこをついてドライブができたことは自分の中での良かった点だと思います」と手ごたえを挙げました。これから一層の活躍が期待されます。
【メダルならずも、初結成の 4 人が成長した女子】
一方で、女子は 6 月のワールドカップに出場した #32 永田萌絵選手 (デンソー アイリス) と、#33 中田珠未選手 (ENEOSサンフラワーズ) に、年齢制限のない FIBA 3×3 の公式国際大会において代表初選出の #6 今野紀花選手 (ルイビル大学)、#31 窪田真優 (桐蔭横浜大学) の 4 人がアジアカップを通じて、成長を遂げました。永田選手は「最後にメダルを取れなかったことは本当に悔しい」と胸の内を明かしながらも、次のように収穫について触れています。
「予選 (ラウンド) のときは正直言ってどうチームを作っていこうかと、少し不安もありました。ですが、難しいなかでも一人ひとりがどうやったらこのチームが良くなるのか、本当に考えて試合を重ねるごとに良くなり、成長していると感じました。そこは代表チームとしての大きな収穫だと思います」
また中田選手も「この準備 (期間) がないなかで、みんなとチームを作っていかないといけないなかで、(決勝トーナメントでは) 予選よりコミュニケーションを取れるようになり、お互いの良さを生かしたプレーができました。チームとしては (求める) 結果には届かなかったけれども、成長できた部分はたくさんあったと思います」と振り返りました。
初結成のチームながら短期間で仕上がりを見せたからこそ、決勝トーナメント初戦でスリランカに快勝。敗れはしましたが、6 月のワールドカップで 3 位となった強豪・中国に KO 勝ちを許さずに最後まで食い下がることができました。日本は15得点をあげましたが、これは中国の今大会最多失点。この日 3 試合目となったインドネシアとの 3 位決定戦では疲労もあったでしょうが、試合中盤に点差を広げられた展開から、相手のファウルトラブルに乗じて永田選手、今野選手の果敢なアタックや窪田選手の 2 ポイントシュートで反撃し、最後まで攻め続けました。
初代表の大学生たちも世界の舞台で活躍を見せました。2018年の「第18回アジア競技大会」以来の 3×3 挑戦となった今野選手はアメリカで成長した力を活かせたようです。「5 人制でも 3 人制でも、そこで出た結果や自分の手応えはどちらにも自信として生きるので、とても意気込んでやっていました。だからこそ (今大会で) 結果を残せず悔しかったですが、ルイビル大学に入って海外の選手と対戦することに慣れていたので、気持ちとしてはとても楽でした」と話しました。
また 2 月に初開催された「3×3 Next College Monsters Festival 2022」の出場から、一気に代表へ駆け上がった窪田選手。持ち味のドライブを武器にチームの大きな力になりました。メダル獲得を逃した悔しさは抱きつつも、競技の醍醐味を改めて感じています。こう語りました。
「5 人制に比べて 3 人の力が絶対に必要になります。誰か一人でも欠けてはいけないので (1 人ではなく) 3 人で取った得点という気持ちがとてもあります。勝ったときの喜びは 5 人制でももちろんありますが、3 人制もまた違った喜びがあると感じています」
男子同様に女子にも若い芽が台頭したアジアカップ。悔しさも含めて “ 経験 ” は必ずや今後の自身の成長と、今後の代表チームに生きるはずです。若い佐土原選手、今野選手、窪田選手は今後、3×3 のアンダーカテゴリーの国際大会へ出場する可能性もありますので、その活躍を期待したいところです。
【アジアカップの経験を糧に、日本一丸となって成長へ】
アジアカップでは連日、多くの声援が 3×3 男女日本代表へ寄せられました。選手たちはたくさんの声が力になったと話し、感謝を述べ、今後の決意を改めて示しました。
「現地シンガポールでたくさん日本人の方はもちろん、海外の方々にもたくさん応援していただき、僕たちの力になりました。日本からのたくさんの応援も、選手全員に届いていました。テレビ東京さんは、まだメジャーとは言えない 3×3 に注目してくださり、放送や配信をしてくださいました。これらすべてのことが、日本 (で 3×3 がメジャーになる) の第一歩だと感じます。だから、これに僕たちは結果で応えないといけません。次こそ、結果を残します。引き続き大きな応援をお願いします。そして今大会では、応援ありがとうございました」(落合選手)
「日本から本当にたくさんのご声援をいただいて、ありがとうございました。まずは国内でもっともっと 3×3 を盛り上げていきたいですし、そこから世界へ出て活躍ができるように頑張っていきたいと思います。日本で 3×3 の認知度、競技人口を増やしていく。そして、もっともっと実力をつけていきたい。今後も色々と全員でやっていきたいです。応援してくださっている皆さんに、私たちは本当にパワーをいただいています。今度こそ、結果でお返しします」(永田選手)
最後に、アジアカップでは FIBA 3×3 Referee C-License を保有する名越龍男審判員 (岐阜県) が大会レフェリーとして参加していました。2019年にライセンス試験を受けて取得後、FIBAからの初招聘でした。名越さんは今まで日本で磨いてきた審判技術を発揮しただけでなく、FIBA 3×3 の A-License を保有するトップレフェリーともペアを組んで試合を担当したことで「(試合中に) 気をつけていること、着目していることなどを (トップレフェリーから) 学ばせていただきました」とコメント。「当然、この経験を国内へ還元しなければいけないと思いながら参加しています」と話しました。
日本の 3×3 は、選手、チーム、そしてレフェリーが今回得た様々な経験を糧に、今後も一丸となって成長を続けていきます。